たかがサンドウィッチ、されどサンドウィッチ。特製ソースに漬け込んだローストポークをたっぷりと、バンズからはみ出んばかりのスライスチーズと一緒にサンドして、バターを落とした鉄板で焦げるギリギリまで両面焼き。美味しくない訳がない。キューバサンドと呼ばれるらしいそのシンプルな料理が、カラフルに彩られたコース料理以上に魅力的。
でもそれは、「シンプルだからこそ美味しい」「手が込んだ料理が駄目」とかでは決してなく、「シンプル故に奥深い」「どんな料理もシェフの情熱と拘りが詰め込まれている」象徴なはず。
一流シェフの料理ドラマかと思いきや、意外に主人公の家族について、そして働き方について、人生を描くのが主軸。なのに、家族みんなで見られる"美味しそうな料理が出てくる、ハートフルなコメディホームドラマ"に仕上げないのがなんともアメリカ映画ぽい。日本語字幕は大分マイルドにしてるみたいだけど、割と下劣な台詞が多いので、好き嫌いは分かれそう。あと、間違いなく、食欲満たしてから挑まないと苦しむ映画。
キューバサンドは勿論のこと、コース料理もフォンダンショコラもマッシュポテトも出てくる料理全てが美味しそう。中でもピカイチそそられたのは、熱々のオリーブオイルとスライスしたニンニクをこれでもかと絡めたペペロンチーノ。ペペロンチーノを作る、それを食べるって、その2人はただならぬ関係だと勘繰ってしまうのは私だけ？
