記憶喪失の男がライブ会場で一曲歌い失神。
バンドの赤犬はその歌声に驚き、記憶を戻すまでの間バンドのボーカルとしてマネージャーのカスミの家に居候することに。
歌ものではあるが山下監督は「リンダ、リンダ、リンダ」なんかも手掛けているし、この手のやつはお手のものだろう。
ただそれ以上に記憶喪失の男が歌い始めるという雰囲気が、カウリスマキ作品に通じるものを感じる。
主役の渋谷すばるは記憶喪失になった時は一切無表情なのも似ている。
俳優と歌手という境界線は限りなく薄いが、過去を清算するという意味での歌であればそれは意味を持つ。
ラストの表情は心からのそれだろう。