ma097

百円の恋のma097のレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
4.0
なんでだろう、試合のシーンで涙が止まらなかった。前半は邦画っぽいなって言う日常のきめ細やかな描写だとか静かな雰囲気で、一子の『底辺』感をよく描いていた。
ボクシングにのめり込んでからの変容がすごい。身体、目つきを含む雰囲気全てがガラッと変わる。
ボクシングを始めた動機も『なんかいいな』って言ううまく言葉にできない些細なきっかけ。物事の始まりなんてなんでもそんなような気がする。全てに理由があるわけじゃない。人生は偶然の連続だなあと思わされる。
なんでここまで泣けるんだろう。スポーツ系の映画は特に好きではないし。考えてみたら、どこか自分の中にある劣等感だとか、頑張りきれないことに対する後ろめたさから振り切った姿だったからかも。文字通りボコボコにされて、それでも『人生で一度くらい勝ちたい』と言う思いから気力だけで立ち上がる一子に憧れを抱いたんだと思う。今の自分は、なりふり構わずに殴りかかれる情熱があるだろうか。32歳で若くないとされていたけど、何事にも歳の制限はつきものだ。今の年齢で、やり残したことはないか、そんな問いかけを感じた。

安藤サクラがとにかく素晴らしい。演技の域を超えた本物だった。
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