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百円の恋のnaoズfirmのレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
3.7

魂が揺さぶられた作品🎬

ストーリーは32歳のパッとしない女性がボクサーとの出会いから、毎日をサバイブしながら恋愛とボクシングに目覚める姿を描いた作品でした。見所は安藤サクラの演技力この一言です。一癖も二癖もある個性的な役を見事に演じきっていました。堕落した生活を送っている斉藤一子とボクサーとなった斉藤一子のギャップがえげつないです。主人公はニートのアラサーで親のスネをかじりながら日々過ごし、家業の弁当屋も手伝わない、ダメ人間を絵に描いたような女、斉藤一子。そして一子を取り囲む人たちもダメ人間ばかりです。怒りや、憐れみ、軽蔑の感情が湧き上がってくるぐらいドロドロです。そしてこのダメ人間の集まりが、後半の一子を引き立てます。今作は華々しい敗者復活戦を描いたような作品ではありません。人生を戦いそびれた人間が、かろうじて人生に対し前を向いて戦う兆しを見せる程度の話でしかありません。しかしだからこそ、自分の価値を信じられない人間にとって一子の一撃は響くものであり、もしその人生が今は百円程度の価値しかないととしても、戦いから逃げるなと今作は教えてくれました。まさに"百円を笑う者、百円に泣く"です。
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