NAKAYAMAN

天空の蜂のNAKAYAMANのレビュー・感想・評価

天空の蜂(2015年製作の映画)
4.1
東野圭吾原作x堤幸彦監督の社会派タイムリミットサスペンス。
原発再稼働、ドローン問題などで揺れる今だからこそ、観ることに大きな意味がある映画。
これを20年前に書いてるって東野圭吾凄すぎ。

子供と爆発物を乗せたまま遠隔操作によって奪われた最新鋭超巨大ヘリ「ビッグB」が原発上空で静止。
天空の蜂を名乗るテロリストはヘリの燃料が切れ、墜落するまでの8時間以内に国内全ての原発を停止するよう要求する。

メッセージ性が強いのに二転三転するスリリングな展開で飽きずに観れるのが凄い。
(登場人物が多い分序盤は各キャラクターの中途半端な掘り下げが若干退屈だったが)
こんなダイナミックな展開をどうやって文字で表現しているのか、普段は読まないが原作で確かめてみたくなった。

原発安全神話への問題提起はもちろん、3.11の後実際に起こっていた個人に対する差別などのミクロな問題まで描かれていて、東野圭吾は未来予知能力者なんじゃないかと驚愕した。
実際は入念なリサーチをした成果なのだろうけど、それってつまり3.11みたいな事故が起こっていなくてもそういう問題は原発周辺で起こっていたということなのだろうか。

社会派とは言ってもお堅い映画ではなくエンタメ性も高いので、原発問題等に関心がある人は勿論、普段はニュースや新聞を見ないような人にもオススメ。
学生時代に教材として本作を観せてくれていたらもっと早くから興味を持っていたと思う。
細かいツッコミ所はあるし個人的に堤監督は苦手だったが、かなり面白かった。
豪華な演技派キャスト陣と秦基博のエンディング曲も魅力。

犯人の最後のメッセージが印象的。
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