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はじまりのうたのbucciaのレビュー・感想・評価

はじまりのうた(2013年製作の映画)
4.4
はじめにこれだけは言わせてほしい。監督ジョン・カーニーが好きだぁ~~ ジョン・カーニー作品を通して言えることは、音楽の素晴らしさやバンドの一体感を共有することができる最高の監督であるということ。ミュージカル映画はあんまり好きじゃないけれど、音楽をテーマにした作品は大好きで、特にジョン・カーニーの作品は珠玉揃いでどの作品もオススメ!優劣はつけれません。早く新作が観たい!

この作品は、音楽をベースにした恋愛・友情ものであり、また家族の再生物語も描いたちょっぴりほろ苦い大人のビタースイートな映画です。この映画のシーンはどの部分を切り取っても好きなんだけど、その中でもめちゃくちゃ好きなシーンが2つあります。一つはダンとグレタが二股のイヤホンジャックを使ってお互いのプレイリストを聴きながらNYの街を闊歩するシーン。美しいNYの街角を背景に恋人のように音楽を聴き合う姿はホント素敵で憧れちゃいます。そして、もう一つはNYでの街角レコーディング。路地裏で遊んでいた子供達も巻きこんでのレコーディングや地下鉄構内でのゲリラ演奏etcなど劇中歌の素晴らしさも相まってどのシーンも最高に気分が乗っちゃいます。特にビルの屋上で分かり合うことができなかったダンとその娘が演奏を通して通じ合ったシーンは最高に好きで超感動。

劇中に使用される歌はどれも良くて、キーラ・ナイトレイの透明感のある美声が素晴らしい!しかし、それ以上にグレタの元彼役で本職の歌手でもあるマルーン5のアダム・レヴィーンのハイトーンボイスも聴きどころのひとつ。アダム・レヴィーンが唄う『LOST STARS』は是非聴いてほしいな、もう気づけば涙が・・・。

ただ、ラスト前の解釈がいまいちよくわからない。デイヴのライブきたグレタ、二人の楽曲でもある『LOST STARS』を唄うデイヴを観て、途中で帰ってしまったグレタ。これはどう解釈すればいいのだろう。熱狂する観衆に『LOST STARS』はもう二人だけものでもないと気づきデイブの下から去ることを決意したのか、オリジナルで唄うと約束したのに途中でアレンジした楽曲で唄ったことでやり直すことができないと思ったからなのか、あるいはまた別の解釈があるのか、それがわかるセリフなど説明がなく読解力のない私にとってよく分からなかった。また、結局せっかく作ったアルバムも1$で売り出したグレタの真意などいろいろと議論したくなるような作品です。でも、それだけいいってことだね。
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