ハリボ

はじまりのうたのハリボのレビュー・感想・評価

はじまりのうた(2013年製作の映画)
4.5
【2020年35本目】

切なく、優しく、包みこむ音楽。

2回目の鑑賞。
改めてジョンカーニーはすごい。
ここまで、パーソナルな映画を作ることができるジョンカーニーはすごい。

音楽を聴いて、ふとその曲が今の自分と重なることを人は少なからず経験すると思う。
この映画は、まさにその経験こそが音楽の魔法であることを証明した作品だと思う。

a step you can't take backは
片方は沈んで自殺しそうな勢いから、その音楽によって希望を見出した男、
片方は振られた男を引きずって、もうなんでもいいやと気持ちを吐露して歌う女。
同じ音楽で同じ歌詞なのに、何故こうも正反対に音楽が作用されるのか。

lost starsで感じるのは
愛しすぎて尊い気持ちと、
愛しかった儚い思い出。字面からして違う。
にもかかわらず、同じ曲を聴いてるはずなのに、こうも違う解釈を感じてしまうのは、
いろんな状況において、音楽が魔法の力を発揮してしまうからだ。

改めてみて、同じ曲を二度やる構成は神がかってるとしか言えない。今作において、二度演奏される曲は上記の二曲。
何度見ても、ハッと気づかされるこの感覚を何度聴いても味わわされるのだろう。

音楽の儚さ、
映画の伝え方、
どちらもジョンカーニー自身がとてつもなく大切にしているものだと思う。
それを分け与えられる勇気と優しさに感謝したい。
ハリボ

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