あきら

イントゥ・ザ・ウッズのあきらのネタバレレビュー・内容・結末

イントゥ・ザ・ウッズ(2014年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

シンデレラ、ジャック、赤ずきん、ラプンツェルの物語が魔女と森とパン屋の夫婦を通じて絡み合っていく前半は、そことそこを繋げるかという原作を知っている上での単純な面白さがあり、パン屋の夫婦という“世間の人々”がおとぎ話に乗っかってちゃっかりハッピーエンドを迎えるという引っ掛かりを残して後半に繋がる。

子供に伝える教訓を持つ物語、おとぎ話は誰かが必ずハッピーエンドを迎える、しかしそれは願いを持ったキャラクタを肯定するためのものではない。
だから、それぞれの教訓を伝え終わった後、わがままで馬鹿な、或いは狡猾な登場人物たちが家もない、母親もいないという不幸に落とされる。
物語が崩壊し、ぐだぐだになるきっかけがハッピーエンドの犠牲者である巨人だという皮肉が効いていた。

しかし『ハッピーエンドのその後とは』というCMを散々見たので、あの結婚式が境になっていることが明白だったけれど、それを聞かされていなかったら全体の構造が分からなかったのではないかというくらい、演出にメリハリが無かったのは残念。
歌唱シーンは楽曲が盛り上がりにかけるのか使い方にメリハリが無いのが良くないのか(多分両方)長いなとは思ったけれど、歌が上手いので最後まで聞けたという感じ。

この映画の終わりくらい悲惨な現実に生きていたとしても子供にはおとぎ話を聞かせなければならず、魔女は消えたけれど王子は野放しなので、シンデレラの物語が再生産されていく円環構造というブラックなオチは好き。
今度の実写版への伏線かもしれない……なんて。
あきら

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