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エンド・オブ・ザ・アースのnoteのネタバレレビュー・内容・結末

エンド・オブ・ザ・アース(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ある日、突然教会に通って祈っていた信者だけが天国に召され、それ以外の人には世界の終末が訪れる。聖書の黙示録に書かれた恐ろしい預言が次々と現実に。横暴な政治家が悪魔を自称して地球を支配し、彼に求婚されてしまった不幸な女の子リンジーは、恋人とともに、悪魔を倒そうと奮闘するのだが…。

キリスト教の終末論を徹底的に茶化した、アナ・ケンドリック主演のナンセンス・コメディ。
キリスト教の教義のように、敬虔な教徒たちは天国に迎え入れられ、不信心者が地上に残されたらどうなるのか?、という設定で作られた「黙示録」をとことんパロディにしたナンセンスコメディーで、中身はとことん下らない。
あまりにも酷くて馬鹿らしくて笑えた。
いろんな方面から絶対に怒られる内容だ。

不信心な者が残された地上では、隕石が落ち、血の雨が降り、獣が言葉を話し、オマケに死者ゾンビとなって甦る。
さらに反キリスト主義者が台頭し、核ミサイルを発射して主要都市を滅ぼそうとする。

序盤の終末世界のパロディはブラックでとても面白い。
しかし、残された人々は「勘弁してくれよ」「またかよ!」みたいに他人事として捉えていてボケをかます。
神罰を異常気象程度にしか思っていないのだ。
天に向かって「かかって来い!」と、ツバ吐いた人間に見事に隕石が当たるベタさが笑える。

さて、どうすればこの世界の終わりに決着がつくのかと思ったら、ヒロインと恋人は「長いモノに巻かれろ」と、リッチな反キリストの政治家(人の姿を借りた悪魔)ビーストの所に就職しようとする。
この政治家ビーストのキャラクターがヒドイ。
セリフはセクハラ満載の下ネタばかり、やることなすこと身勝手で下品極まりない。
絶対、フェミニスト団体に怒られる。

演じるクレイグ・ロビンソンは恰幅が良く、これはトランプ大統領のパロディかと思いきや、製作当時の大統領はオバマだ。

もし、クリーンなオバマの逆のキャラクターをやったとしたら、彼のシンパや黒人擁護団体は怒り心頭だったろう。

やがて、物語は処女というだけで彼に見初められてしまったリンジーが、いかにしてビーストとの結婚を回避できるのか?策を巡らせる、というのが本筋となる。
天変地異はどこへやら忘れられてしまう(笑)

ヒロインとその恋人は、ゾンビ化した芝刈り好きの隣人や、ヤケで大麻の売人になった弟など、大した武器もなく、身近な人材と材料でなんとかしようとするのが、馬鹿丸出し。

行き当たりばったりの末に、ビーストを銃で殺すヒロイン。
悪魔となって何度も起き上がるのだが、全く躊躇なく連射するヒロインには爆笑。
最後にはビーストの作ったレーザー砲で、世界の浄化に天からやってきたイエスを打ち落としてしまう。
神のシナリオに何してくれる!と怒って現れた神様(これまたアジア系なのが、教会関係者や白人主義者に怒られそう…)とビーストが子どもじみた殴り合いのケンカをした挙句、ジャグジーに落ちて感電死。

神も悪魔も死に、天変地異も収まった。
ヒロインと恋人は幸せな家庭を築くが、他の大人は「支配者はもう居ないぜ!」と、酒と女とクスリでパーティ三昧。
愚かな人類に罰を与えようとした神様の気持ちも分からんではない。

ヒロインを演じるアナ・ケンドリックの、どんな出来事でも、まるで他人事のように語る無関心さがハマり役で、それをコメディのボケに応用した、彼女のための映画と言っても過言ではない。

まぁ、全てがやりたい放題で下品。
モンティ・パイソンの「ライフ・オブ・ブライアン」もキリスト教のキツいジョークが多いが、まだアチラの方が知的でお上品。
「けしからん!」と憤慨するのは、まず真面目なキリスト教徒だろうが、宗教が神聖に捉えて欲しい部分をとことんおちょくって見せるのは、ある意味、痛快でアメリカの言論の自由を羨ましいとさえ思う。

どの映画レビューサイトを見ても、低評価なのは当然。劇場未公開なのも当然。
需要はアナ・ケンドリックの可愛らしさだけだ。
真面目な日本人にはこんなに不謹慎な映画、絶対にウケない。
反面、日本ではこんな馬鹿でバチ当たりな映画、絶対に作れない。
言論の自由を逆手にとって、やりたい放題したかったのかもしれない。
コンプライアンスでガチガチの日本社会にいるからこそ、あまりの馬鹿と下品さに笑えてしまった。
何の教訓も無く、何でこんなの見てしまったのか…?と、後悔する類の映画だが、こんな人たちより、自分の人生はまだマシと思えるのがコメディの醍醐味なのかもしれないと思ってしまった。
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