こうみ大夫

岸辺の旅のこうみ大夫のレビュー・感想・評価

岸辺の旅(2015年製作の映画)
4.1
全てのもとは無・ゼロなのであるが世界はそんなものでできている。無であるはずの死者、またその死者に出会ってしまう生者は心が解放され、次第に本音を吐露する。何が違うのか?そう本当に思えてしまうが、死者と生者の間には確かに超えられない壁がある。何気ない日常の素晴らしさは代え難く人の欲するものなどはそれ以上何もないというのが本質だ。言葉に表せないそういう見えない何かを美しく描いた傑作。私たちは今日も無の波に押し出されたり、抗ったりもしくは断ち切ることで生きている。それを思い出すような映画だった。
花の切り抜きが壁に掛かっているところはとても綺麗だった。
深津絵里は良い役者になった。短大時代を話した後の笑顔とか、とても良い。
こういう死者の描き方(まだあの世に行けてない死者?)ができるという時点で凄いよ、黒沢清。
こうみ大夫

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