くますけ

岸辺の旅のくますけのレビュー・感想・評価

岸辺の旅(2015年製作の映画)
4.8
3年の時を経て、死んだ夫が妻のもとへ帰ってくる。そして妻とともに再びその旅路を辿る物語。
ともすれば感動お涙全面の映画にもなりかねないところ、この仕上がりなんだからさすが黒沢監督。

光と影と風と音。
視覚と聴覚のなかでも意図しないで感じる部分を不意に刺激されてる感覚。
体の裏側で感じる違和感が画面に釘付けにする。

そしてそのなかをしなやかに軽々とした存在でいてくれるのが深津絵里。
すごいバランスだ。
そんな彼女も旅以外のシーンでは歪みをみせてくれ、それもまた魅力的。
この役絶対難しいだろうなぁ。

とても淡々としているのに、見終わってから何度も色んなシーンが頭のなかで反芻されてる。

死者が混じってるのは回路を思わせたし、監督独特の演出も楽しめた。
ラストシーンがあっさり終わる感じまで、納得の一本。
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