黒沢流死者とのロードムービーそしてラブストーリー。お見事。
妻(深津絵里)の作る白玉をスイッチに岸辺＝彼岸＝あの世から舞い戻ってきた夫(浅野忠信)。死者が蘇って愛する者の処に還る話は古今東西多くあるがコメディになるか御涙頂戴になるか安易なところに落ち着く作品が多いなか流石黒沢清独特の世界観で観るものを引きづり込む。日常の中に入り込むあちら側の気配や空気のズレの見事な描写。そういう側面の描写に関してはもはや日本では右に出る者はいないのではないか。また難しい役所を演ずる主演2人も凄いが数分のシーンなのに圧倒的存在感の蒼井優も凄かった。大友良英の意図的(?)に通俗的な音楽も不穏な映像とのコントラストで逆に効果的だったように思う。
怖くて切ない大人のラブストーリー。今年観た邦画ではベストかも。素晴らしかった。
