デヒ

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のデヒのレビュー・感想・評価

4.3
主人公の人生は芸術そのもの。違う観点で世の中を見るようになった作品。
セリフ一つ一つが心に響いた。

過去には「バードマン」というヒーロー映画の主人公だった有名な俳優だったが、今は盛りを過ぎた俳優の主人公。ブロードウェーで芝居をやっている。主人公の職業とあいまって、映画の主な舞台は演劇舞台だ。演劇とは何か。与えられた空間(一つの空間)で俳優たちの演技が劇のすべてを左右する。俳優たちの演技で物語が展開される。映画は演劇を効果的に見せるため、演劇のようにワンシーン·ワンカットで展開していく。
映画は最初から最後までワンシーン・ワンカットのように見える。まるで演劇のように途切れることなく、続けて台詞を吐く。
映画の全体的な雰囲気とストーリーを導いていく俳優たちの熱演。一瞬たりとも緊張感を逃さないようにし、かえって面白さを付加させる監督のしっかりした脚本。 このすべての要素をよく表わした監督の演出力が素晴らしい。

いくら映画が面白くて集中し続けられるとしても、映画とはスクリーンに投影されることで視覚化される。長方形のスクリーンの境界に気付いた瞬間、映画と現実は違うことに気付き、急速に退屈になる。
ワンシーン·ワンカットでまるで演劇を見ているように表現して観客を劇に導く。見ていることが実際行われていることだと信じさせるものだ。これが映画の限界を超えた、この映画、『バードマン』だけの魅力だと思う。
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