Edmond

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のEdmondのレビュー・感想・評価

5.0
陳腐な表現になってしまうけど、奇跡的な映画。
アレハンドロゴンサレスイニャリトゥ監督は長編映画監督デビュー作以来の大ファンで、「アモーレス・ペロス」「21グラム」「バベル」と群像劇の素晴らしさと可能性に気付かされ、監督作品以外でも製作に携わった映画を全作品見ていたので、その監督がアカデミー穫るなんてのはダニーボイルがスラムドッグ$ミリオネアで賞レースを独占した時以来、いやあの時の100倍のサプライズだった。
監督の希望によりスペインで撮られた前作「BIUTIFUL」で群像劇を卒業(?)した後、どんな作品に挑戦するのかと思っていたが、ほぼ全編1カットの長回し(実際は編集も駆使した「長回し風」)や、演劇界という世界から発せられる映画界への痛烈な批評、そして後半にはそれに対するアンサーかのように映画でしか不可能であろう突然のCGの応酬、ワンカットによってのみ表現できるであろうスムーズな視点の移動、それをダレさせる事無く次々と巻き起こる物語と、演技・セリフ、心地よいジャズドラム。
昔見た「マジシャンズ」という韓国映画も95分の1カット長回しで感服した事があるが、この映画は「1カット長回し」という手法に溺れる事なく、それが手段であって目的では無いと断言出来る程に完成された作品だった。そこにイニャリトゥ監督らしい、根底にある「愛」がスパイスとなり、奇跡的な映画となってましたとさ。おしまい。
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