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メニルモンタン 2つの秋と3つの冬のMASAYAのレビュー・感想・評価

3.8
メニルモンタンというのはパリの東に位置するはずれ街のこと。メニルモンタンという名前の由来は悪天候な集落という意味の単語からきている通り、決してきれいなパリの街並みを堪能できる映画ではありませんが、下町情緒溢れる街もいい雰囲気を醸し出しています。

主人公のアルマンは
職なし、女っ気なし、後頭部の毛根ほとんどなし。そんな中年男性が33歳の誕生日に
・仕事をみつける
・運動をはじめる
・タバコをやめる
と、3つの目標を掲げる。そして早速はじめた公園でのジョギングでアメリという女性にぶつかってしまい、一目惚れをする……?

という内容で、ありきたりなような感じもしますが、演出などを含めて意外と斬新な作品だなというのが見終わった後の最初の印象です。
この作品のキーワードは「親近感」だと思います。映画ではよく見かける美しい街並みではなく、パリの下町。何だかんだイケメンな主人公ではなく、ハゲ散らかしちゃってる無職の中年男性が主人公。映像美とは言えない16ミリフィルムでの撮影。
すべでにおいてお金をかけた感じがしなければしないほど、どこか身近に感じて、何となく幸せな気持ちになれるのではないでしょうか。

好きな点がかなりあるのですが、例えばストーリーにおいても、公園でぶつかるという非現実的な出会いをしておいて、そこからは人生は甘くないと言わんばかりに、狙って公園を走るアルマンの前にアメリが現れないとこや、その後意外な形で再会するとこなんかも誰もがどこかで体験したことがあるような偶然と似たものを感じることができてよかったです。

あとは特殊な演出が目を引きました。メインとなるストーリーが基本的にセリフ少な目で淡々と展開していくののですが、それに並行してそれぞれの登場人物が自分の行動やその時抱いた感情についての解説がインタビューの受け答えのような形で挿入されているのが非常に面白いと感じました。

たしかに評価に個人差が出やすい作品なのは分かります。実際一緒に行った2人にはあんまりだったみたいです。
しかし自分としては文字に起こせない良さが散りばめられた映画だと思いました!


2016.3.18
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