爆裂BOX

ウォーターの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ウォーター(2008年製作の映画)
3.7
フィリップは祖父の遺産相続の手続きの為、20年ぶりに故郷に帰郷する。そこで旧友の一人ヘルマから仲間がゴンガーによって殺される夢を見た話を聞かされ、その通りに仲間が水気のない場所で溺死してしまう・・・というストーリー。
ゴンガーとは干潟で残酷な方法で殺された者が犯人の二世代後の子孫に復讐するという伝説で、その通りに若者達が殺され、残りのメンバーが呪いを解く為奔走するというオカルトミステリーです。
ゴンガーは次の犠牲者の死ぬ姿を他の仲間に夢で見せるという設定がいいですね。夢の通りに殺されるかと思ったら間一髪助けが来たり、その逆で連絡が遅れて殺されてしまったりという展開は中々ハラハラします。
主人公達が呪いを解く為、襲われながらも少年が誰なのか、そして少年を殺した犯人探しに奔走する謎解き展開も良かったです。犯人はかなりわかりやすいですが。
ただ、肝心のゴンガーがびしょ濡れの目隠しをした少年が手を突き出して迫って来るだけなのでちっとも怖くないのは残念です。そのせいでイマイチ主人公達が命がけで逃げるシーンも緊迫感が感じられないんですよね。殺されるシーンも溺死でグロさが全くないのでビジュアル面で迫力に欠けます。もうちょっと怖さを感じられる演出がほしかったです。
終盤、犯人を暴きだし少年の無念を晴らして少年の魂を解放してハッピーエンド、かと思ったらそこからの急展開とどんでん返しは素晴らしいですね。冒頭の首吊ったメイドや干潟の動物の骨など関係なさそうに見えたシーンが伏線だったのにはシビれます。ヘルマの母親が頑なにゴンガーの存在を否定し秘密を守ろうとしたのはこの為だったんですね。この「主人公達が良かれと思ってやった事が・・・」というひねくれた展開は好きです。それまで面白さそこそこだったのがこの最後の展開でかなり面白い!に変わっちゃいましたよ。不気味な余韻タップリなラストも素晴らしい。戻ってきちゃったのね~。
ヒロインヘルマがキリッとした感じの美人で良かったですね。ドイツの綺麗な風景がタップリ見れたのも良かったです。
ジャケの地味そうな印象やタイトルからは想像つかないほど良く作られた作品です。ホラー描写に期待すると肩透かし食らうかもしれませんが、ミステリー要素のあるオカルト映画好きならかなり楽しめると思います。ネットでも殆ど情報がなく話題になってないのが勿体ないです。続編もあるそうなのでそちらも是非見たい!
第一の犠牲者の携帯の着メロがハロウィンのテーマ曲なのはニヤリとします。あれ欲しいな。