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荒野の千鳥足のFMLのレビュー・感想・評価

荒野の千鳥足(1971年製作の映画)
5.0
汚ねえ。
汚ねえ。
汚ねえ。

こんな最低な生き方、絶対したくない。

こりゃもはや映画界の3Kやな。

一応先に言っとくけど、この映画のテーマは"現状打破"
なんでも人のせい、環境のせいにしてだらだら不満を垂れながら、
もしくはそれすらもせず堕落した生活を送る人々に贈る、"観る啓発"

でも、そんなことどうでもいいぐらい、とにかく汚い!
醜い!てかもはやくさい!
もし、技術が発達して作品の匂いまで感じられるようになったら
おそらくおれはこの映画をバケツなしでは観られへんかったやろうな

汚いおっさんの汚い汗、汚いおっさんと汚いおっさんの汚い会話
汚いおっさんが作る汚いメシ
すまん、3Kどころか100ぐらいありそうやわ。
もちろんKは全部"汚い"やけどな

シドニーに暮らす恋人を訪ねるために立ち寄った街"ヤバ"
汚いおっさんどもが集まる汚いバー
"コインを投げて表か裏か当てる"だけのクソつまらんギャンブルで
有り金を全部失った主人公ジョン
そこから、まさにどん底まで堕ちていく様を
サイコに、サイケに、ホラーに描く

こんなクズみたいな生き方してるやつ、この世に存在するわけない、、
ないよな??
そう言い聞かせたくなる妙なリアルさ
ギャンブルで得た金をギャンブルに使う
ギャンブルで失った金をギャンブルで取り返す

あぁ、多分存在する
日本にもめっちゃおる、こんなおっさん
パチンコ屋から出てくるおっさんの何割かはおそらくこの映画の環境に適応できる
そう考えると、"実録!荒野の千鳥足"的なドキュメンタリーでも観てみたくなってきたな

金も清潔感も常識も何もない代わりにビールがある。
悩みを吹き飛ばすためにビール
汗まみれの体をビールで洗う
乾いた喉をビールで潤す

おれらは、やりたいことを我慢して、言いたいことを我慢して、
ビールすらも我慢して、金曜の夜に安い居酒屋でやっと束の間の快楽に勤しむ
まさに、ジョンの最初の姿と同じじゃないか

ヤバの街の住人が人生をもって教えてくれてる
"人生は自由"
どこにでも行っていい
何を言ってもいい
何をやってもいい
ただ、その責任も運命も請け負うのは自分

最低の生き方?
いや違う、"最高の死に方"
SNSとコンプライアンスに支配された今こそ、自分を解き放て。

でもおれはビール飲まれへんからウーロン茶で。。
乾杯!

あっ、カンガルーは殺したらあかんよ。
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