トリアーはニンフォマニアの女性の約半世紀渡る人生を見事に作り上げた。これこそアンチクライストだと思った。
アンチでは虐待を欲する歪んだ肉欲だったが、今回は神自体が淫乱の神だ。多分トリアーは前々作のアンチクライストを撮っている時にこのアイデア思いついたのではないかなと感じた。現にアンチと類似場面(子供が雪の降るベランダに行く)が存在する.
トリアーは凄い監督だ。ニンフォマニアという症状の創造、生き方、ストーリー展開、映像、トリアーでしかしか出来ないだろう。さぞ園子温は悔しい思いをしているんではないかな。
VOL1では主人公ジョーがニンフォマニアのはずなのに不感症になって終わり、VOL2ではそこから始まる。愛を知り、色情ではなく生殖行為で息子も生まれる。愛があるからニンフォマニアではなくなってしまうのだ。
そしてジェロームはジョーを愛しているが故に他人と寝て感じてくれという。これって「奇跡の海」の場面だ。そしてジョーの自分の木を見つける旅が始まる。ニンフォマニアとしての。
初老紳士のセリグマンとの会話は相変わらずどこかコミカル。
私の好きな「グレート・ブルー」のジャン・マルク=バールにこんな役させやがって・・・トリアー ぶっ飛んでます。
観客は8割ほど女性で驚きました。女性の方が興味がるってことだな。AVは見る癖に男の場合ストーリー性より行為ってことなんだろうか?
私がまだ理解できないのはニンフォマニアでありながら、後半ジェロームに嫉妬するところ。 愛する気持ちが潜在的にあったということか。もう少し時間をおいて考えてみよう。
ジョーは自分の生い立ちを話しつくし、セリグマンはその話毎に読書により得た知識豊富な感想を語る。ジョーは初めて自分のこと(ニンフォマニア)を判ってくれる人を見つけ友情を感じる・・・
これを感動というのだろうか?しばらく放心状態。興奮治まりません。トリアーにやられました。