松浦義英

ルパン三世 ワルサーP38の松浦義英のレビュー・感想・評価

ルパン三世 ワルサーP38(1997年製作の映画)
5.0
98年夏:金曜ロードショー。(10月頃?)
21.10.22:金曜ロードショー。

【まえがき】
ルパン三世と初めて出会ったのがこの作品でした。
23年前、98年、9歳、小学校四年生の時に始業式の後、教室に戻った時に
初めて会った隣の席の友達とお互いの好きなものについて話したんだよね。
お互いにゴジラが大好きって分かって話が盛り上がって友人同士になったんだけど
ゴジラにしか興味がなかった俺が「なにか面白いもの他にある?」って聞いたんだ。
そしたら「『ルパン三世』面白いよ!ビデオ貸してあげる!」って言われて、
どんな物語なのかも、誰が主人公なのかも知らずに貸してもらったんだ。
(アルセーヌルパンにハマって小学校の図書室で借りまくるのはこの少し後です)

それでリビングでご飯を食べた後にビデオを再生してたら、母親が食器の片付けを終えて
リビングに来たから「ねえ、ルパン三世って面白い?」って聞いたんだよ。
この時点でOPが流れていて、暗い幕開けに少々つまらなさを感じていたんだけどね。
そしたら「うん、すっごい面白いよ、お母さんも好きだよ」と母親。
この一言のおかげで、22年間も、更に終わるまできっと続く、
ルパン三世マニアの扉を赤てしまったんです←
原体験って忘れないね。
…今まで見ていたアニメっていうのは子供が想像したストーリーのまま展開して、
作品内の小さな世界だけで完結して、
テレビで流れる際は長くても一時間のものしかなかった。
『ドラえもん』とか『クレヨンしんちゃん』とかの劇場版は映画館に行って観るものと
思っていたし、長尺物はビデオを借りて、腰を据えて観るものだと思っていた。

そこへ彗星の如く現れたルパン三世。
重く暗い舞台、予想外の裏切り、テレビで放送された長尺アニメ、
母親も気軽に見ていた作品…。
新しい世界の扉を一気にバンバン開けた衝撃を体全体で浴びた作品だったのが
『ルパン三世 ワルサーP38』だった。
その影響で翌年から上記の友人とサバイバルゲームをすることになった自分が、
初めてエアガンを購入したのはワルサーP38だったよ。
原体験が本作だったからシルバーメタリックのワルサーP38が欲しかったんだけど、
未だにアンオフィシャルメイドしかないのは仕方ないんだろうなあ…。

当然、本作に多大なる影響を受けた俺はTSUTAYAに通った。
その時にパッケージ裏の絵に唯一惹かれたのは『燃えよ斬鉄剣』の龍の置物だった。
(『トワイライトジェミニの秘密』のパッケージ裏の不二子の影表現の胸の膨らみと乳首にもゾワゾワはしたけれど、性的欲求は皆無に等しかった)
『燃えよ~』はテーマ曲が'89だったり、山田康雄の遺作だったり、
起承転結がしっかりしていたり。キャラデザが1st調だったり、
展開が(『ワルサー~』に比べるとコミカル路線だったり、
エロティックなシーンもそこそこにあったり、
最後は軽めのバッドエンドになることで『ワルサー』とは視点の異なった
バッドエンドという共通点があったり、やっぱり主題歌が感動的だったり)
ちなみに『トワイライトジェミニの秘密』はワルサーを友人に返却し、
『燃えよ斬鉄剣』を観まくって『ルパンを追いかけ続けるぞ、好きだぞ!』
ってなった後、同じ友人から借りたんだよね。
でも『ワルサーP38』『燃えよ斬鉄剣』と観てきた人間には
うっすい物語なのが気に食わなかったんだよね。
いや、テーマ曲は山田康雄の急死で降板していた大野雄二がテーマ曲だけ新曲を提供した96だったりして新鮮味はあったんだけど、敵がオカマとか、エロシーンが沢山とか、
エンディングも見ようによっては艶めかしいとか、
ゲルトの財宝にスケール感がそんなにないとか…。
そういう要素が絡み合うと『ワルサー~』『燃えよ~』に比べての失速は凄かった。
(その後ルパンの歴史も少しずつ頭に入れてきた小五の夏くらいの自分は『ルパン役三作目だからまだ上手くないんだな…』って思ったりもして)

原体験の後の夏に初めてリアルタイムで観たルパン三世のTVSPは
99年の『ルパン三世 愛のダ・カーポ〜FUJIKO'S Unlucky Days〜』だった。
一応『燃えよ斬鉄剣』『トワイライト~』を経ていたので
ルパンが持つ不二子への執着を理解していたはずなんだけど、
人格が変わらなくてもいつもの不二子が断片的に記憶がない設定で良かった気がして
入り込めなかったんだよ…。
…その後00年の3月にプレステ2が発売されて、買って。
4月に『カリオストロの城』のDVDを買ったんだ。
でもこの頃から、あまりジブリ作品を好きになれなかった俺はハマることはなかった。
と言っても何度も何度も見たよ。
その頃唯一だったからね。自分のお小遣いで買ったDVDは。
(00年の8月に初めて劇場鑑賞した007の『 World Is Not Enough』のDVDを買うまで続いた)

00年の11月、最後の小学校の社会見学で個人的にゆかりのある金閣寺に行ったんだ。
その社会見学の帰りにバスの中で見た『ルパン三世 ルパン対複製人間』に
ガッツリもガッツリ心を盗まれたんだよね。
マモーが脳みそだけになって宇宙に飛び立って『2001年宇宙の旅』オマージュを
した場面の少し後にビデオは強制終了したけどね…。
開幕首つり、テーマ'79の疾走感、不二子のエロさ、マモーの気持ち悪さ…。
そして『ワルサーP38』のルパンのシャツとネクタイとズボンの配色は『対複製人間』と同じという妙なシンクロもあったりなんかして…。
これはいつかまたレビューを書こうと思います。

そして、分別もある程度つくようになってきて、中学生になって初めてのTVSPが
12作目の『1$マネーウォーズ』だった。
母方の実家に里帰りしてた時に観たんだ。24時間テレビを尻目に(笑)
『1$マネーウォーズ』で完成して、以後ずっとルパン三世に魅了されるんですよ。
これもレビューはまたいずれ。

【本編感想】
本作が、『ルパン三世アニメ化50周年企画』の一環で再放送されると。
当然、出会いの作品なので本作に投票した俺ですけど、
まさか初めてリアルタイムの地上波で観れるとは思っていなかったので
この期を逃さずレビューを書き上げようと。
…もうひとつだけ。
今回の放送の番組予告、三種類ありました。
放送前週の予告、放送3日前にネットにアップされた予告(CM?)、放送前の冒頭予告の三種類。
前週予告と放送前予告は基本的に映像もナレーションも9割9部同一なんだけど、
ネット予告だけはちょっとだけ映像の編集が違った。
『Theme From Lupin The Third'97』のコーラスに合わせて次元とルパンが銃を撃つ音ハメ予告になってて、爽快なんだよね。
なぜこれを地上波に乗せないのか?不思議なんだけど
そんな細かすぎることすら書かずにはいられない作品のレビューです。

もう既に"まえがき"をいっぱい書いていますが、ここから本編に入ります。
よろしくお願いします。

ルパン三世原作誕生30周年記念作品。
初の栗田シリアスルパン。
栗田貫一が山田康雄からルパン三世を引き継いで4作目。
公私に渡る交流があった山田康雄逝去に伴い、
ルパン三世関連の仕事の一線から退いていた大野雄二の全編復帰作。
(栗田貫一がルパンの正式な1作目『ハリマオの財宝を追え!!』は担当。
翌年の『DEAD OR ALIVE』『トワイライトジェミニの秘密』のテーマ'96は担当)

それまでの作品とは一線を画した力の入れようだと思うんです。
脚本家の切口もダークで鋭く、(担当の米村正二は後年『ファーストコンタクト』も担当。
ルパンのおとぎ話としては上手いオチでした)
メインテーマは30周年記念で原作ルパンの要素にもなった007の雰囲気を感じるアレンジにリニューアル、
ルパン三世の過去をクローズアップ、豪華ゲスト声優陣…。
これ以後も原作誕生やアニメ制作それぞれ40周年50周年となっていく度にある種の記念碑的作品を発表するルパンシリーズ。
…歴史を振り返ってみると…。
原作誕生10年の77年に2ndシリーズがスタート。
パイロットフィルムアニメ化10年の79年に『カリオストロの城』が公開。
パイロットフィルム〜20年の89年にTVSPがスタート。
原作誕生30年の97年にTVSP『ワルサーP38』にてルパンの過去をフィーチャー。
ルパン三世アニメ化(1st)から30年、01年のTVSP『アルカトラズコネクション』にて原作のシスコ編を大きくフィーチャー。
原作誕生40年の07年にTVSP『霧のエリューシヴ』にて原作者の故郷を大きくフィーチャー。
TVSP開始20年の09年に名探偵コナンとコラボ。
ルパン三世アニメ化(1st)から40年の区切りで制作された12年のOVAにて井上真樹夫、納谷悟朗、増山江威子が引退。
パイロットフィルム〜30年の19年に原作者死去、TVSP新作二作放送、3DCG映画公開。
ルパン三世アニメ化(1st)から50年、21年に『ルパン三世 PART6』放送開始。
…となっていくわけです。

そんな中の『ワルサーP38』は
副大統領の誕生日会の裏でルパンが金庫室の中の金を盗むという予告状を元に警備する銭形の元へルパンがやってくるところからスタート。
ルパンを影だけで見せて地下から潜入する様と驚異的な身体能力を印象付ける冒頭…素晴らしい開幕だと思う。

「予告状は出した覚えがない、誰が名を騙ったのか確かめに来た」とルパン。
「そういう言い訳は取調室で聞かせてもらう」と銭形。
…開始1分30秒でこれ。2ndルパンでよく見た光景。
(更に言えば金庫室の窓を開けて侵入する姿は1stの幸運のトランプ回の逆だよね)
同じ頃謎の暗殺集団が誕生日会を襲撃、その惨劇を見るルパン。
多くの財界人を暗殺していた。
(この惨劇の描写が無敵過ぎて好き。血塗られたバースデーケーキとか凄く良い。
00年代以降〜声優陣交代までのTVSPにはこの狂気にも似た描写が全くなかったのは致命的だと思う…)
…そんなことはお構いなしの銭形はルパンを追い詰め、銃を突きつける。
「なあ、なんだか匂わねぇか?ニセの予告状に殺し屋軍団」
「黙れ、おまえの逮捕が先だ!」
その刹那、二人を見下ろせる屋敷の窓で銃の撃鉄を下げる音がしたことに気づくルパン。
銭形に向け、銃が発砲される。
倒れる銭形、窓を見るルパン。
銃身がかろうじて見えると因縁がありそうなシルバーメタリックのワルサーが映る。
ルパンにはやはり因縁があるようで、目を見開き、
…ここのアニメとしての緊迫感溢れる描写が本当に好きだ。
銃身だけ見える→心臓を捉える→薬莢が落ちる→ルパンがワルサーを手にしながら窓を振り返る→シルバーメタリックのワルサーを見る→目を見開く→過去回想でセスナに乗ったルパンが誰かに撃たれて落下する描写。しかもレントゲン風の色調。
そして回想の銃口と今見てる重厚が重なる演出。
そしてオープニングテーマ…!
もう最高ですよ!

そしてオープニングのタイトル。
『ルパン三世 ワルサーP38』
の下の方に筆記体で何か書いてる。
筆記体は習わなかった人なのでずーっと分からなくてモヤモヤしてたんだけどネットは凄いね。高校生の時に調べたよ。
調べてみると、どうやら英語じゃなくてドイツ語らしい。
なるほど、ワルサーはドイツの銃だもんな。
…なんて書いてあるかというと
『In Gedenken an die Walther P38』。
訳すと『ワルサーP38を偲んで』という意味。
全編観た後だと染みるよねこれ。
日本人にそこまで馴染みのないドイツ語を、しかも筆記体を持ってきて作品の中身を悟られない力の入れよう。
さらにドイツ語を持ってくることに無理矢理感を感じさせないようにワルサーの出生地をルパンに絡める…。
あっぱれですよ。
(これを書いてる個人ブログやTwitterの呟きは現状皆無だった。
確か高校卒業直後にどこかの個人ブログで1件だけ取り上げてたドイツネイティブの教師がいたけど、
国内のルパンマニアでもここまで知ってる人は多分少ないかと)

暗殺集団と警察とのカーチェイスが展開される。
暗殺集団に当然利があり事故死しまくる警察達。
バイクで追いかけるルパン。
…速攻崖走りをするルパン。
カリオストロオマージュもこの程度なら何ら問題ないよね。
その直後、急な車線変更をする車をバイクでも急な車線変更をして追いかけるルパン。
この時のバイクの挙動が実にアニメ的で良いよね。
あの溜める感じ、観てる方もドキドキがたまるよね。
『Lupin The Third〜Wow!』のコーラスに重なる武装トラックをバイクで右往左往しながら追いかけるルパンを映す後方視点。
たまんねぇですよ。
…道路の壁?防音壁?にバイクで乗って華麗にショートカットを決めるルパン。
本当に本当にカッコいいと思うんですよ。
これは無理矢理繋げると『対複製人間』でコンボイに追いかけられたルパン達がガードレールに乗って空中から道路に戻ったオマージュだったり?
後ろから迫ってくるルパンのバイクを見て、速攻トラックの上に乗ってるボマー細かくて好きだな(笑)
…そしてひと暴れした暗殺集団がヘリで去っていくんだけど置き土産としてコンボイトラックの荷台に時限爆弾を置いてるんだよね。
そしてそれを間一髪で気付き避けるルパン。
コンボイは大爆発して大破するんですよ。
これ、『対複製人間』のオマージュだよね。
さっきの壁?防音壁?オマージュは確証ないけど、コンボイ爆発は明らかに『対複製人間』オマージュですよ。

と、ここまでがオープニングなんですが。
本作のキャラデザインは『新世紀エヴァンゲリオン』で原画を書いていた木崎文智さん。
似るのも当然だよね。
他にも水島精二(『シャーマンキング』監督)がいたりする。
『DEAD OR ALIVE』と本作は後年凄い地位に就いてるアニメーターが多数参加してるらしい。
アニメーターには全然詳しくないので水島精二さんくらいしかわからないんだけど
そういう意味でルパンのネームバリューは大きいと思う。

暗殺集団のアジトに潜入するルパンと次元。
二人で暗殺組織タランチュラの話をしてるの良いよね。
低い声なのが潜入っぽくていい。
そしてクリカンの成長具合が凄い。
初見時はそんな事知りもしなかったけど、TVSPを通して観た時本作の位置づけは凄い所にあるよね。
ここに五右エ門がいないのもポイントだよね。
五右エ門の声は高いからね、この場面には合わない。
…『バミューダトライアングル』の話を持ってきて、オカルトではなく、磁場などでもなく、
暗殺集団のアジトに近付けないためのテクノロジーと落とすの気持ちいいよね。
…更にタランチュラのアジトが各国政府に公認されてるから存在が地図にはないっていう設定の男の子のツボをビンビンにさせる設定。
最高に好きだ。
この設定って『カリオストロの城』のカリオストロ公国とどこか似てる部分があるのがまあ意識してるよねっていうね(笑)
俺はそうだとは思えないけれど、『カリオストロ〜』のクラリスと対になってるヒロインとして本作のエレンがいる。
っていう考察をしてる人もいるくらいだしね。
俺はそうだとは思えないけれど『カリオストロ〜』も『ワルサー〜』も囚われている女の子を逃すっていうストーリーは似通っている。
っていう考察をしてる人もいるくらいだしね。
…アジトにいる人々は、全員手にタランチュラの紋章がある。
タランチュラって大きくて素早くて気持ち悪くて…だから開始2分からずーっとアジト潜入までジトーっとした湿気の高さみたいなものがまとわりつくのが凄いよね。

荷物を運ぶ作業員としてあまりにも違和感なくアジトに潜り込むルパンと次元。
やっぱり『カリオストロ〜』も『1$マネーウォーズ』もヒゲは隠さ(せ)ない次元。
チャームポイントだよね(笑)
…潜り込んだことがバレるも、一切慌てないルパンと次元。
この余裕こそルパン三世だよなあ。
以後、特に00年代のルパンTVSPはこんなことでも焦ったりして本当に格好悪かった…。

『ワルサー〜』って銭形パートがかなり薄いんだけど、インパクトがあって好き。
それは多分他のメインキャラに比べて深めの線で顔とかを描いているからだと思うんだけど
ルパン大好き男をこれでもかと演出
(繰り返す骨折ももろともしないルパン欲って素晴らしい)
してるのが素晴らしい。
でもマニア的視点は
もう少しだけ真面目銭形が見れると良かったんだけど、バランスの関係上割りを食った感は否めないよね。
…瀕死というか心停止したのに、「ルパン」って単語を聞くやいなや生き返って呼吸器外してピンピンする。
そしてルパンがまだ逃走中だと知るやいなや鼻息出して気絶する。
この落差のハマりっぷりこそ納谷銭形の素晴らしい一面だと思うんだよね。
(山寺銭形はもう少し頑張ればこういう銭形像を作れそうなんだけど、
山寺銭形は今の所原作の真面目銭形風の演技が多いからな…。
山ちゃんだから引き出しとしては全然持ってるはずなんだけど、
『攻殻機動隊』のトグサみたいなキャラの銭形だよね)
多分普通の人なら記憶が曖昧なのに、ちゃんと
「撃ったのはルパンではありません!」と真実を述べてるだけなんだけど、ルパンへの愛情も忘れないコメントって言うのがいいよね。
…そういえば、ICPOの長官がまた変わっているけどこれはあれなのかな。
前年のTVSP『トワイライトジェミニの秘密』でICPOの本部長が悪者になってしまったから新しい人に変わったりしたのかな?
でも長官と本部長は階級が異なるから関係ない?(笑)

ルパンと次元がシルバーメタリックワルサーの事を話す場面。
「なぁルパン」
「ん?」
「俺の知ってる限り、おめぇのワルサーはそれ一丁だと思ってたがなあ…なにかいわくでも?」
「まだ、駆け出しの頃さ。あのシルバーメタリックを使ってたのは」
のやりとり。
親友の男との会話というかリズムというか、そんな共通点があるなあといつからか感じるようになった。
そしてPART4のルパンと次元のなにかのやり取りでもそれを感じることがあった。
ルパン三世って作品にはやっぱり男としての生き様というのか空気感とかも教えてもらってたんだなあと思う。
原点なんだよなあ、俺の。
だからずっと好きなんだよね。
…ジャックがルパンたちを襲うけど空振りする展開。
「なんでジャックって名前なんだろう?
ナイフ→ジャックナイフ→ジャック?」って思ったりもしたんだけど、ジャックが使ってる武器ってナイフっていうよりも剣とかソードの部類なんだよね。
でも、ソードって名前だとダサかったりするよね。
ジャックで良かった…。
(後年のTVSPでも次元担当の敵は何故か名前が単純だったりダサかったりする不思議。
ジャックはカッコいいけど、
『アルカトラズコネクション』では
まだ理解出来るキャラ付けのハイエナとか、
『お宝返却大作戦!!』では何故か銃はマカロフを使うのに名前はトカレフなおじいさんとか…)
シリアスな作風と対比させて、戦闘シーンは余裕たっぷりに「はーでな歓迎だなぁー」とおちゃらけるルパン。
一枚上なんですよっていう余裕と、栗田貫一はコミカルよりハードなルパンのキャラの方が演技は板についてますよ、
っていうバランスをとんでもなくうまく配しているっていう妙技よ。
「…だとよ」
「コイツは、裏がありそうだなあ」、
「例の場所で」
「…死ぬなよ」
「パーティは、これから、だ!」
この最低限の言葉のやり取りで察する感じよ。
これこそ、ルパンと次元なんだよ。
…次元大介をルパンの子守が何かと勘違いして「おかん」って表現している某動画サイトや某SNSの一部の人達は意味不明すぎて理解が出来ない。
ルパン三世の本質を分かってなさすぎてダサい。
わざとおちゃらけてるにしても全然面白くなくて、むしろ滑ってるのが気持ち悪いと思う。
…熱くなってしまった。

エレンと初めて会う場面で崖から滑り落ちて「いってえ」を連発するのは
『対複製人間』のマモーの硬質ガラスから落ちた時の「いてえないてえな」のオマージュだよね(笑)
山田康雄がしみじみと痛みを表現したのに対して
栗田貫一は痛みがガンガン来てるっていう対比が面白い。
もしくは崖から落ちるってことで『カリオストロ〜』のクラリスに最接近する所のオマージュか。
ここでエレンと最接近するのは同じだからね。
でもクラリスはルパンに守られるだけ、エレンはちゃんと戦うっていう女性像の変化もいいよね。
…やっぱりここでもエレンの攻撃を易々と受け流すルパン。
本作はちゃんとルパンのプロフェッショナル感というのか戦闘強いです、ってところを徹底してるのが素晴らしすぎるんですよね。
だからこそ、ラストのチェイスがビンビンに活きるんですよね。
…でもここでボマーの攻撃をモロに食らうという一面を見せることで、
完璧じゃないっていう親しめる一面もあるって分かるし、エレンのかかと落としにも説得力が増すというね。
…俺は初見時、このボマーの攻撃をモロに食らったルパンを見て、本作に『面白いぞ、続き観たいぞ』って思いを持ったんだよね。

ゴルドーの声優に内海賢二を持ってきたのって素晴らしいキャスティングだよね。
怖さと強さが出まくる声。
則巻千兵衛と同じ声優なんて信じられないよね(笑)
『メタルギアソリッド3』のヴォルギン大佐、
『荒野の用心棒』のラモンは
ゴルドーと同じ感じだけどね。
…ジャックの部屋で秘密を探っていた不二子がジャックの接近を感じ取り裸になって待ってるの
すごくエロティックだよね。
『トワイライトジェミニの秘密』と同じ金髪不二子なのに本作の不二子は女性らしさをとことん駆け引きにスマートに利用していてかっこいいよね。
ジャックの背中を撫でる手の動きとか、ジャックに押し倒された時?のカメラアングルとか、不二子のスタイルとかとてつもなくセクシーだよね。
「棘があるから美しい花だってあるじゃない?」って締めも素晴らしいよね。
大人の女性ってカッコいいと思うんですよ。
で、こういうカッコよさを持ってるけれども女性らしい部分は最大限に利用する女性って凄く凄くカッコいいと思うんですよ。
(『ミリオンダラーベイビー』のレビューに書いたような障害者割引の話とかもそうなんだけど)
…そして不二子と五右エ門が事前に潜入しているっていう設定が1stの五右エ門初登場回を思い出させる感じで好き。
(この後の不二子が五右エ門に飛び抱きつきする場面も)
ルパンファミリーはバランスがいいんだよね、ちゃんと配置するとね。
ルパンと銭形(ライバル)、ルパンと次元(仲間)、不二子と五右エ門(近しい関係?愛人??)
っていうね。
…さらにわかりやすい『カリオストロ〜』オマージュとしての不二子の口を手で塞いでビックリさせるルパンっていうね。
でもそこにタランチュラの紋章を入れた不二子と白米にがっつく五右エ門の話を入れることでホラー感とオマージュ具合を薄めるんだよね。
上手いよね。

梅干しに泣く五右エ門が最後に活きてくるの良いよね。
脚本ってこうじゃなきゃね。
(クライマックスでまさか活きるとは思わなかったから初見時は膝を打ったよね。
同年に本作と同じ会社が制作した
名探偵コナンの劇場版第一作『時計じかけの摩天楼』ではラストに青を切って、
『ワルサー〜』ではラストに赤を切るんだよね。
どこかでスタッフが
「一緒だからオマージュというかコラボ的にやりました」
って公式コメントを述べたのを見たんだけど、
スタッフの遊びなのにちゃんとそれぞれの視聴者が納得出来る理由を真剣に用意したのが好感持てるよね。
最近のコラボとかオマージュなら「意味深に繋がり持たしておけば勝手に盛り上がるだろう」とかの軽いものが多いからね。
…ちなみにコナンは蘭と新一の運命の赤い糸を切りたくないから。
ルパンは豆ばかり食べていて久々に食べた梅干しの色が忘れられないから)

エレンのペンダントを開いたら『瞳を忘れないで』のオルゴール版が流れるの上手いよねぇ。
エンディングで歌入りを聞くまでの間、何度も何度も視聴者はオルゴール版を聞いてメロディを覚えてしまうんだから。
そして歌を聞いた時には歌詞をちゃんと聞いてしまうという計算し尽くされた作り。
そして歌詞の意味を作品全体で俯瞰して完結させる…。
効果的だよね。

ルパンがタランチュラの紋章を入れられる場面ってコメディとダークさのバランスが丁度いいよね。
ルパンは余裕しゃくしゃくだったんだけどゴルドーに軽めに策略がバレたのが分かった瞬間顔が真剣になる感じがさ、いいのよ。
そして紋章の怖さを説明する場面の怖すぎる演出の数々…。
ホークの暗殺方法とか、タランチュラの紋章を受け取った途端にタランチュラの紋章が赤くなって毒が回るとか、
ガスの意味がわかるとか、
ボンベが切れて毒が回ると吐血してタランチュラの形に血が流れるとか…。
怖すぎるのよ、画面の色味と内海賢二の声が。
ここの大野雄二の音楽も最高過ぎてね。
…ここのBGMが好きすぎて今作のサントラからTSUTAYA三宮店にリクエストしまくって西日本で一番ルパンサントラがあるレンタル店を作ったのは俺だったりするんですよ←
(ちなみにサントラにはシルバーメタリックワルサーの絵がデカデカと載っていて、その細かい書き込みに感動したんだ。
でも『タランチュラ』じゃなくて、
『タランチェラ』って書いてて誤植なのか、元々はタランチェラだったのか?
頭を悩ませたりして笑
『とっつあん』だったのにいつの間にか公式が『とっつぁん』にしたみたいに)
って言うことも含めて
大好きな場面ですね。

怖さを見せた直後にゴルドーvsルパンを見せるのもセンスいいよね。
実力差をまじまじと見せつけつつ、ルパンもやる男ってのを見せる。
さらにジャックたちとの戦闘。
この一貫しているルパンの強さ描写。
たまりません。
(ホークの「俺がやるぅ!」でいつも笑ってしまうんだけど、なんか必死で好感持てるよね笑)

ドクターとのファーストコンタクト前に再度銭形が銃撃される回想+ルパンが撃たれてセスナから落ちるのを見せるの良いよね。
引きつける引きつける。
…そしてボマー再登場で、次元のプロぶりも見せつける。
さらにドクターの殺気を毒蜘蛛処理の時に見せることで
組織の一員だから優しくても殺気を出すのは仕方がないと納得させてしまう。
(ルパンと次元がちゃんと殺気を捉えるのがたまらない)
人物描写上手すぎるよね。

ゴルドーの部屋?に入るための生体認証の描写って後年『炎の記憶』にも使われているよね。
機械の性格が全然違うのも面白いところ。
世界各国の要人が7人なのはG7とかそういう系?(笑)
『新世紀エヴァンゲリオン』のゼーレっぽいのも気になる点だよね。
「遅かったですね…時間は正確に」の声の人『新世紀エヴァンゲリオン』のゼーレでも聞いたような??

エレン=ルパンがラボにダクトから侵入する場面の赤外線の回避方法はガッツリ『対複製人間』のピラミッド潜入の時のオマージュだよね。
…エレンとエレンに変装したルパンが対面して初見時の俺は驚いたんだよなあ。
「同じ人が二人いる!」って。
ルパンは変装の名人だって知らなかったもんね。
そういうものも子供には衝撃だったんだよね。
変装時の声がそのキャラ本人にしか聞こえないっていうのも、子供にはとっても衝撃的だったんだよ。
ルパン三世ってそういう、知らないものへのワクワクを最大限に与えてくれるコンテンツなんだよね。
今でも本当にルパン三世との出会いが今作で良かったと思ってる。
「ダークだからルパンらしくない」っていう本質を理解してない人もいるけど、
ルパン三世の本質は本作と『対複製人間』なんだよね。
前述した服装のカラーリングは意図的なのがたまりません。

とっつあんが外国の日本料理店で納豆ご飯を食べる場面。
ビッキーが持ってきた新聞に映るカリオストロ伯爵とカリオストロ城の仕掛け。
79年の『カリオストロの城』、
97年の『ワルサーP38』。
こういう遊びもいいと思う。
…ここ凄い場面だよね、日本料理屋でのとっつあんの食事といえば『対複製人間』、
カリオストロ伯爵とカリオストロ城といえば『カリオストロ〜』。
『バビロンの黄金伝説』のオマージュはないのかな?って言いたくなるけど、日本料理店のネオンがそれだったりするのかな?(笑)

次元とボマーが組んで地下道を掘る場面。
次元と阿笠博士だ!って初見して数年後に思ったのを思い出す。
それがルパン三世と名探偵コナンのコラボでまた見れたのは面白かった。
次元大介と阿笠博士は絡まなかったけど。
…二度目のフィーチャー場面では金庫室への道の最後の一発を五右エ門にお願いする。
少しだけ1st最終話の『黄金の大勝負』を思い出したりして。
ちゃんとゴルドーたちに音でバレないようにめちゃくちゃ細かく切り刻むのが良いよね。
落としそうな一欠片を次元が銃で撃つことで
「またつまらぬものを…『撃っちまったな!』」ってアレンジ加えてるの良いよね。
五右エ門も怒ったりすることなく、一笑するのも武士らしくて好感持てる。
(銃撃の音は大きいから大丈夫?って思うけど、地下道は相当奥だと解釈すれば大丈夫)

エレンの弟のアレックスがゴルドーの命令で過労死?した話を出した直後に『瞳を忘れないで』のオルゴール版を流すのってズルいよね。
しかもエレンの心情を表すかのような広めの一人部屋と降りしきる雨。
雨を、寒い外を避けようと窓に当たってくる蝶。
こういう演出好みすぎる。
…そしてルパンが現れる。
「明日は命を預けるパートナーになるんだぜ?信頼関係が大事だろう?」
って言ってオトナの関係を想起させるルパン。
「無駄だ」と即座に冷たくあしらうエレン。
…ルパンの問いかけから、エレンの過去を聞き出したルパン。
ルパンもエレンに目的を聞かれる。
「組織の金塊目当てだって言ってるじゃない」とはぐらかすルパンにエレンは「隠すな!」と怒気を強める。
お返しにルパンも本心を話す。
「エレン、この島から出たらどうするつもりだ?
組織から…いや、忌まわしい過去からずっと逃げ続けるのか?
俺は、過去にケリをつけに来たんだ。おやすみ」。
…これ俺のモットーになってるのよね。
『忌まわしい過去〜ケリをつけに来たんだ』までね。
自分の身体障害に対してね。
だからルパンって、俺にとってただのアニメじゃないのよね。
…このシーンのルパンと『瞳を忘れないで』のアレンジBGMは本当に素晴らしい。
「裏切られんのが、怖いわけだ」
「忌まわしい過去〜過去にケリをつけに来たんだ」の素晴らしさよね。
ちゃんとエレンもルパンの嘘を見抜いて、本心があるとわかっているのが、いい関係だよね。
(これ、後年の自分のボランティア活動でのあの忘れられない人との出会いにも通じるのがいい。
進学の背中押しと、
障害者と触れ合って変わったことと、
お互いの学生時代のイジメを話したことと…)
きっと真の目的はルパンファミリーも知らないだろうから…。
(次元はラストのリアクションからして最後の最後にルパンから聞いた感じがある。
次元だけには真相を最後に明かしたっぽいのがいいよね)
…このオトナの関係を想起させる場面がラストにガッツリ効いてくるなんて、
脚本の米村正二はよくルパンをわかってると思う。

ルパンとエレンが解毒剤を打って酸素ボンベを外して自由を噛みしめる場面。この場面があることでラストに効くのが最高だよね。
「自由ってのも結構面倒なもんでよ。
いつも自由でいるためにはやんなきゃならねえしんどいことだってあんだよ」
って本当に良い場面だよね。
俺はこのルパンの台詞も自分の中に留めてる。
自分の場合は、多数が健常者っていう中で少数派の障害者として生きる時に
比較的自由に過ごす為に
我慢すること、出来ないこと、
頑張れば出来ること、我慢しなくていいこと…。
これらをちゃんと見極めて、精一杯背伸びして生きていかないといけないと思ってる。
だからルパンって、俺にとってただのアニメじゃないのよね(二度目)。

銭形は徐々にルパンに近付く。
療養中でも都会から田舎に転院してルパンに徐々に近付くその執念よ。
出番が少なくても光ってるのがいいんだよな、本作の銭形は。
…この場面で流れるジョー二次郎の『男とは』っていう音楽。
実際は宮川たかしって演歌歌手の『花吹船』って歌なんですよね。
サントラにはショート版しかないので、フル版ほしい…!
花吹船は原作者モンキーパンチの出身地である浜中町にも通ずる
東根室が終点のJR単線の名前と一緒なんだよね。
敢えて持ってきたのかどうなのか。
東根室には花咲港があるんで、そこから出る船は全部花咲船になるしね。
歌詞がザ演歌って感じで好きだな。
…この場面でルパンが部屋の窓を壊して、銭形が飛び出そうとしてビッキーが抑えるのは
『対複製人間』のマモーが不二子を連れ去ってルパンが部屋の窓から外に出ようとして次元が抑えたオマージュだよね。
ルパンと銭形でやっているって最高ですよね。

衛星管理施設に侵入したルパンとエレン。
命乞いした保安要員に優しさを見せるエレンまでもすべて伏線になるんだよね。
単純な伏線じゃなくて、ちゃんと一旦保安要員に囲まれ命を狙われて命の軽さと価値を
話して「お前たちの好きにはさせない、もう二度と」って結論づけることで伏線回収したと見えるのが巧妙だよね。
この台詞が作品全体を表しているのもまたいいよね。
…ちゃんとルパンがエレンのペンダントを回収して、上に引き上げて
「もうちっと気楽に行こうや。
力抜けって、そんなんじゃ美人が台無しだぜ?」ってペンダント渡すのカッコ良すぎるんだよな。
歯の浮くような台詞だけど、こういう言葉言ってみたい。

そしてエレンとルパンが走る影の裏で流れる
『Theme From Lupin The Third'97』カッコ良すぎる。
アレックスのMOデータを使って静止衛星レーザー砲のデータにアクセスする場面のデータにアクセスしてる描写は
ちょっとだけ進化した『バイバイリバティー危機一発!』のオマージュだろうか。
冒頭のパリ市警本部の。
その影響か、本作のルパンはとんでもない早さで静止衛星レーザー砲が自爆指令に従わないと認識するやいなや速攻爆破時間の引き伸ばしを見つける。
『バイバイ〜』でコンピューターの可能性に敗北したけど、なんとかモノにしようとしたルパンの根気の賜物なのかな?(笑)

ゴルドー派vsドクター派の船上決闘。
刃物は刃物で、銃は銃で勝負するのかと思いきや、
ジャックは次元と五右エ門でダメージ与えて
ホークは五右エ門で回避して次元とボマーで片付けるの意外だった。
(ちゃんと後半で武器同士の戦いになるけれど)
ルパンファミリーに加勢するのにも意外性があるからボマーって良いよね。
ゴルドーに不意打ち食らって自爆する形になるけどゴルドーの義手兼武器がなければ殺してたってことを踏まえると結構強いよね。
ちゃんとボマーが爆死するのを次元が見てて名残惜しそうに名前を呼ぶの、ルパンがいなかったら他文こいつらはコンビだったような気がしてセンチメンタル。
(ここでちゃんとゴルドーの戦闘能力の高さを印象づけるの効果的だよね)

「やらされたんだ、ヤツに」
ってルパンの言葉はドクターがルパンと組んでた時にもコンピューター系が強かったってことなんだろうね。
バックドアとかウイルスとかを仕込むことに会館感じそうなタイプだもんね(笑)
…解毒剤の効果が切れた瞬間に一気に緊迫感が増すのって音楽と声優の演技の賜物だと思う。
凄いよね。
…「駄目だもう間に合わねぇ」って言いながら生き長らえる次元・五右エ門・不二子と、
静止衛星レーザー砲の射程範囲に入るけど超絶回避+不時着を決めるエレン・ルパン。
冒頭から幅はあるけどそれぞれ各種能力が高いって事を示しているから受け入れられるの考え抜いてるよね。

エレンが自暴自棄になって一人で走った結果、ドクターに捕まる。
ありがちな展開なのにドクターに憎悪が向く人物像系、いいなあ。
ゴルドーが瀕死の芝居を打つ場面も、シルバーメタリックのワルサーだけをカメラに映すことで当然ルパンに罪が行くというのもワルモノだよねぇ。
…初見時は子供の頭だから、ドクターのデザインや人格がまるっと変わるってことが衝撃過ぎてもうぶったまげてた。
ドクターは絶対良い人だと思っていたからエレンを殺しにかかるとかゴルドーを確実に殺すとか信じられなかったよね。
子供には刺激が強いシナリオだけど、大人向けのシナリオでルパンとファーストコンタクトしてよかったと思ってる。
おかげでマモーも1stも3rdも大好きだからね。
…でも本当に、シルバーメタリックのデザインいいよね。
東京マルイあたりで真面目に商品化してくれないかなあ。
買うよ?

「さぁ出てこい…いるんだろ?そこに」
からラストまで一気に駆け抜ける疾走感。
何度観ても最高に楽しいんだよね。
例えるならUSJの『ルパン三世カーチェイスXRライド』に乗った時の興奮に似てる。
クリカンの演技も凄く良いんだ。
…シルバーメタリックとノーマルワルサーの銃身と銃身が向き合うカッコ良さですよ。
ちゃんとドクターと組んでた時代はベンツSSKに乗ってる徹底ぶりよね。
…回想シーンの勝手な補完なんだけど、
原作ルパン三世って最初っから赤ジャケットなのよね。
1stシリーズをアニメ化する時の時代のテレビの発色技術の都合で赤から緑にジャケットが変更されたんだけど、
その話を繋げで
俺の中では
アニメルパンの初の相棒はドクターで、元々赤ジャケットをルパンは着ていて、
シルバーメタリックワルサーを使っていたけどドクターに奪われて、
セスナから落ちた衝撃で何故か緑ジャケットになって、
落ちた先はカリオストロ公国で…
って補完が成立してたりする(笑)
(セスナのルパンに催涙スプレーを浴びせる時のドクターの目が
直前にエレンに対して催涙スプレーを噴射した時と同じ憎たらしい顔なのがド悪役でいい。
ここで飛んでいるのは黒く忌まわしいカラスで、現在飛んでいるのが白いカモメ?ウミネコ?な対比も素晴らしい)
…「愛だの優しさだのお前の甘さは変わらない、反吐が出るんだよ!」
「貴様だけは容赦しねぇ、ワルサーは2丁も要らねぇんだ!」
このやり取りから銃弾を避けるまでのかっこよさったら!

飛行船を追いかけるオフロードバイク。
そんなアホな、って感じなんだけど
ルパンなら『Theme From Lupin The Third'97』効果もあるし行けるやろ!
って思わせるんだもん。
以前の次元のセリフ
「ギリギリん所から大逆転ってのがアイツのやり方なんだろうが」
体現するかの如くのルパンのバイクっていう伏線回収が上手くて、演出の勝ちだよね。
オープニングと一緒でバイクのエンジン音がまた合うんだよね、メインテーマに。
バイクの種類を変えるだけで全然見れるんだもん、人間って単純だよね(苦笑)
…このテーマ曲〜毒再発までのリピート、今までの人生で何回見てるかなあ。
50回はゆうに超えてるな。
(そしてその裏で「進む以外に道はない!」ってはっきり力強く言い切る五右エ門のかっこいいこと!)
更に言えば「おおっと!周りはガスだぜ。どうする?」からのナイフ格闘は100回は余裕で観てる。
カッコ良すぎるんだもん。
ちゃんとドクターとルパンの身体能力とか察知能力の伏線を一気に発揮しまくってるの興奮するよね。

島のガスが届かなくなってルパンが苦しむ場面はクリカン演技巧すぎてやばい。
山田ルパンのモノマネなんだけど説得力があるというか。
喉から出してる感じの苦しみを山田ルパンに乗せるってめっちゃ難しいと思うよ。
それをやってのけるんだからやっぱりクリカンは今作でガッツリ開花したと思うんだよね。
(直後の「あっ!エレン!」ってセリフの「エ」の部分のダミ声具合とか天才だと思う)
…ドクターの「死ねぇ…!」に横から出てくるエレンの銃撃。
エレンも解毒剤打ったわけだから、ワルサーを撃つ直前はルパン並みに苦しんでいたんだろうか?
そうなら凄い捨て身の銃撃だよね。
毒で死ぬかも知れないけれどルパンを救うために賭けたわけだから。
その結果銃撃されて致命傷で死ぬんだけど、ちゃんとルパンは守ったし盾になってるところをルパンはドクターにダメージは与えたわけで、素晴らしい活躍ですよ。
…解毒剤かドクターの死かっていう二者択一にエレンの恨みと純粋な心を弄んだ恨みが解毒剤を余裕で超えるっていうのがいいよね。
葛藤が一切ないの最高。
それはルパンに対する信頼の厚さとルパンの完璧主義の裏返しに他ならないから。
「ルパンなら解毒剤は絶対作れる」
「解毒剤なんてちょろいちょろい」の集積があの行動なんですよ。
だからルパンもエレンの死に際の
「自由になれた気がした」って言葉に対して呼びかけからの無言の抱擁をしたんだよ。
(Twitterに『盗んだのは奪われた誇り、複製人間に通じる』
って意見があって納得しきりだった。
服のカラーリングに徹底されたルパンのドライな生き様。
素晴らしい徹底ぶり!)

銭形が長官の指示を無視してルパンの土産で独自に動く。
マスコミをちゃんと呼んでるのがいいよね。
『カリオストロ〜』とは異なる警部の本気。

エンディング前にルパンがエレンとアレックスの墓の前で無言の会話をしてるの感動的だよな。
それに、次元が「そろそろ行こうぜ」と声をかける。
ルパン個人の過去の精算の物語の閉じ方として最高の終わり方だよね。
そしてエンディングテーマはエレンが歌う『瞳を忘れないで』。
いつもジーンと感動してしまう。
『並んで風に吹かれた時 すべてが眩しく見えた』
『思うまま生きていこう 瞳に自由を散りばめながら』
…からの不二子の「あーあ、結局手に入れたのが飛行船いっぱいに詰め込んだ島のガスと毒だけ」
に対しての次元の「いや…」ですよ。
最高じゃない。
俺はこの時の不二子は「金塊も解毒剤も海の底なんてひどい」って言葉も含めて憎まれ役を買って出てる優しさを出してると思ってるんですよ。
そこまで峰不二子は無神経な女じゃないはずだから。
…って考えると、このエンディングはとても素晴らしいと思うんですよね。
ルパンもエレンがカモメorウミネコor光の鳥になって近付いたの知ってると思うし、
だからその瞬間にシルバーメタリックワルサーを海に投げたんだろうし、
背を向けて少し歩いてから、止まったんだろうし。
『しあわせは大好きな 自分を見つけること』
『傷つく度に諦めてた 夢見ることの未来を
きっとずっと忘れない 白い翼あること』
なんだがら。

FilmarksにもTwitterにも「ルパンは解毒剤作ったの?」とか「作れるの?」とかいうトンチンカンな何もちゃんと見てないコメントあるけど、アホかって言いたいですよね。
あと「バッドエンドにしなくても」だとか「バッドエンドだからもう見ない」とか
「バッドエンドはルパンじゃない」とかいうルパンの長年ヲタクの意見とかあるけど
(クリントイーストウッドの『ミリオンダラーベイビー』『ミスティックリバー』にもある動き)
お前らは何もわかっちゃいない。
バッドエンドは人生の挫折とリンクしてるんだから、それを見て
そこから何を得るかなんだよ。
『ワルサーP38』なんか、しつこい程に
生の素晴らしさや尊さを描き、同時に生のしんどさや生の責任の重さをも描いているんだよ。
それがあるから…死が活きるし、生が何より素晴らしいものと強く強く感じ考えることが出来るんだよね。
…そこまで考えてほしい。
知らぬ人が知らぬ人に時間と労力とお金をかけて作っているんだから、
なにか得るものがあるはずなんだよ、普通は。
それを「後味が悪い」、「自分の好みじゃない」って少しも考えずに切り捨てるの、好きじゃないな。
…考えても合わない作品ってのは当然あるにはあるけどね。
世界観の広がり、って意味では本作は本当に貴重だと思うよ。
松浦義英

松浦義英