あでゆ

パシフィック・リム アップライジングのあでゆのレビュー・感想・評価

2.0
巨大兵器イェーガーを駆使する人類とKAIJUたちとの激闘から10年。今は亡き英雄ペントコストの息子でイェーガー・パイロットとしての活躍を期待されていたジェイクは、環太平洋防衛軍(PPDC)を去って違法なイェーガーのパーツ売買を行っていた。だが、戦地からイェーガーのパーツを盗んでいたアマーラと共に逮捕され、PPDCのパイロット養成施設へ送られる。そこで彼は義姉のマコに命じられ、イェーガー・パイロットの候補生の教官を務めることになる。

まず、ユニバーサルの何でもかんでも続編、フランチャイズ化しようとする雰囲気はとても好きじゃないです。
本作はMCUで言えば『アベンジャーズAoU』くらいどうでもいい作品だと思う。なんせ前半は基本的に人間の足の引っ張り合いで、自分たちの自業自得感が半端ない。
科学者コンビがしょうもない理由でコンビを解散するのもなんだかなぁという感じだし、ストーリー序盤ですぐに展開がわかり、それ以上裏切られることもないのでドラマシーンも浅い。というか科学者が今回はロクに科学やってなかったのも味気ないなぁ。
人間関係の整理も雑で、例えば中国人の女はなんでそんな無人化に人生を賭けてたんだよ!とか、スクラッパーに乗って助けに来るのがなんでお前なんだよ!とか。普通追放された彼女がスクラッパーで助けに来るだろ。
ちなみにスクラッパーが来た理由は後の展開的には脱出に使うためなんだけど、それ以前の理由が本当に雑。近くにあったロケットを持って来るだけにやって来たんだけど、なにしに来たの??「タメにする」演出。
というかそもそも、彼女はトラウマ抱えてた設定なんだけど、いつの間にかイェーガーに乗っていたので、勝手に克服したっていうことなんだろう。それも良くわからない。

ぶっちゃけイェーガーvsイェーガーな展開はとてもありがちだけど、ありがちであるがゆえに個人的にとても絵的な興味がなかったので、アクションシーン含めてこの辺は退屈で正直ちょっと寝た。

あとやはりデザイン。デルトロが手がけていないと信じたいけど、イェーガーがともかくスタイリッシュにしとけばいいだろと言う雰囲気で、あまり差別化も無いし、誰でもデザインできそうな感じなのが辛い。

ただ逆にそれで面白いと思った部分もあって、ちゃんとしたイェーガーがみんな同じような形で同じような機能の一方で、個人が製作したインディーズのイェーガーには尖った機能があり、中国なんかは無人化みたいなことやってるっていう構造が、今の産業構造と同じだなと感じて、そこは面白かった。流石に意図はしてないと思うが。

あとテーマ的には理解はできるんだけど、バラバラの人種が適当にイェーガーに乗ってることもあって、事前にキャラ付けもされていないので、誰がどのイェーガーに乗っているのかが全くわからない。
だから4vs4の戦闘シーンでも、中と外でそれぞれ何が起きてるかが繋がらず、なにをハラハラすればいいのかが良くわからなかった。

シーンの繋ぎ方が本当に分かりづらくて、原因を描いたシーンの次の瞬間には結果を描くというぶつ切りの連続なので、例えば時間感覚とか、例えば距離感覚みたいなものが作品を通してわかりづらい。
良く言えばテンポがいいんだが、悪く言えば魔が悪く、見づらさの方に振られている。映画というよりCMを挟むテレビシリーズに近く、調べて見たら本当にテレビシリーズ監督だった。

褒められる点は、前作に比べて昼間の戦闘のシーンが多かったことです。とは言え、戦闘のボリューム感は前よりスケールダウンしてるけど。
あとユニコーンガンダムの像が出て来るところと、トンデモトンキン描写で街中の看板にしっかりと簡体字が使われていたところは思わず拍手しそうになりました。
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