観直した。
映画館で観たときも思ったのだけど、爽やかな死の香りを纏った映画である。
つまりは世代交代を描いた作品。
物語は、アン・ハサウェイ演じるヒロインが社長を勤める会社に、ロバート・デ・ニーロ演じる老人が、インターンとして入社する場面から始まる。
会社はネット販売を行うベンチャー企業で、働き手も、ヒロインを筆頭に若者ばかり。
そこへ飛び込んだ老人は、最初は頼りにならないと目されるが、瞬く間に周囲との信頼関係を構築し、仕事でも成果をあげることになる。
この映画で面白いのは、ロバート・デ・ニーロは若者たちの感覚に感心して、それを積極的に受け入れようとし、逆に若者たちは老人の心得や気質から学び、変化していく点にある。
頭から否定して省みないようなテンプレ野郎は登場せず、相互の交流が一つの方向へ向かう様が心地良いのだ。
優しい世界である。
現実も、こうあるべきなのだろう。
そして、この映画のテーマは世代交代だ。
古き時代は去り、新しい時代が始まる。
けれども、それには、やはり過去の良き精神を学び、その上で変化していくべきだと。
現代の新しい風のなかには、故人らの想い、歴史が宿っている……。
そんな意図を、映画を巡る生の死の気配に感じた。
ラストシーン、やはり、あれは観念的な場面なのだろう。
彼は去り、ヒロインの魂と同化したのではないか。
そうして、彼女は走り続けるのだ。
そんな風に、ちょっぴり切なく、でもハッピーな映画である。