蛇々舞

マイ・インターンの蛇々舞のレビュー・感想・評価

マイ・インターン(2015年製作の映画)
4.0
観直した。

映画館で観たときも思ったのだけど、爽やかな死の香りを纏った映画である。

つまりは世代交代を描いた作品。

物語は、アン・ハサウェイ演じるヒロインが社長を勤める会社に、ロバート・デ・ニーロ演じる老人が、インターンとして入社する場面から始まる。

会社はネット販売を行うベンチャー企業で、働き手も、ヒロインを筆頭に若者ばかり。

そこへ飛び込んだ老人は、最初は頼りにならないと目されるが、瞬く間に周囲との信頼関係を構築し、仕事でも成果をあげることになる。

この映画で面白いのは、ロバート・デ・ニーロは若者たちの感覚に感心して、それを積極的に受け入れようとし、逆に若者たちは老人の心得や気質から学び、変化していく点にある。

頭から否定して省みないようなテンプレ野郎は登場せず、相互の交流が一つの方向へ向かう様が心地良いのだ。

優しい世界である。

現実も、こうあるべきなのだろう。

そして、この映画のテーマは世代交代だ。

古き時代は去り、新しい時代が始まる。

けれども、それには、やはり過去の良き精神を学び、その上で変化していくべきだと。

現代の新しい風のなかには、故人らの想い、歴史が宿っている……。

そんな意図を、映画を巡る生の死の気配に感じた。

ラストシーン、やはり、あれは観念的な場面なのだろう。

彼は去り、ヒロインの魂と同化したのではないか。

そうして、彼女は走り続けるのだ。

そんな風に、ちょっぴり切なく、でもハッピーな映画である。
蛇々舞

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