みゅうちょび

ダーク・プレイスのみゅうちょびのレビュー・感想・評価

ダーク・プレイス(2015年製作の映画)
3.1
現在と過去を交互に映し出し、人のつく小さな嘘によって翻弄され、単純なことも複雑にしてしまう、そんな人の愚かさをどことなく暖かい視点で描いてるように感じる。

冷たい闇の中に胎児のように安らかな顔で眠るシャリーズ・セロンの姿。この映画の本質をよく捉えたポスターだなと思う。

母や姉妹を殺され、1人逃げて生き残った少女リビー。哀れな少女への寄付で働くことなく生きて来たが、遂にお金も底をつき、それでも働くよりもその事件で食い繋ごうとするという、屈折し尽くした大人になった彼女。金のために封印していた過去を追う羽目になり、そこから彼女が知り得なかった事実が次々と明らかになっていく。

「ゴーンガール」と同じ作家の原作とのことで、話はとても面白い。ゴーンガールのような衝撃はないけれど、女性作家が描く女の持つ優しさ、弱さ、強さ、そして男では成り立たない女ならではな選択。この映画で明らかになる1人の女性の選択もまた衝撃的。ただ、その衝撃が、スコーンと頭に入って来ず、後からジワジワと来て、エンドロール当たりで、急に涙が止まらなくなった。

「サラの鍵」を撮ったこの監督ならではなノスタルジックで独特なテンポは好きだけど、やはりもう少しメリハリとスリルがあっても良かったかな。主人公がなぜシャリーズ・セロンなのかというところも含め映画的には面白味に欠けるキャスティングな気がした。キャスティングとアレンジ次第で、もっとあの「選択」の衝撃が胸をえぐるような作品になるなと考えるのは、「ゴーンガール」の映画があまりにインパクトが強かったせいかもしれない。

比べちゃいけないんだよね。きっと。
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