鬼才ジェームズ・フランコが2014年に監督映画化。原作はアメリカ現代文学頂点コーマック・マッカーシー。同じく映画化されたマッカーシー「ザ・ロード」は世界が滅び居場所を失くし彷徨う親子の話、「ノーカントリー」(原作「血と暴力の国」)は世界に興味なく居場所を求めない冷徹な殺し屋の話、そして今作は世界に見捨てられ居場所を探す狂人の話。個は社会との接点があってこそ成立する。何の欠落も無く満たされているのに「SNS疲れ」とか言っている輩は少しだけでも今作主人公バラードの壮絶な孤立に触れた方がいい。寂しさ故に凍った肉体を抱くのはどんなに悲しいことか。凄惨で胸糞悪い話なのに叙情が漂うのが不思議な作品。
