まこぞう

ザ・ウォークのまこぞうのレビュー・感想・評価

ザ・ウォーク(2015年製作の映画)
4.0
綱渡りをするフィリップ越しで、高所恐怖症の数学教師が喜びの余り踊る姿を見ているうちに、なんだか分からないけどポロポロと涙が出てきた。最高。
(数学教師の踊り方が何となく理系っぽいのも最高)

まずは、アメリカ映画でメインの舞台はアメリカ(NY)なのに、メインの登場人物にアメリカ人がほとんどいない移民映画なことに驚いた。アメリカではないけど『パディントン』といい、そういう風にしか見えないのは、私がおかしいのか、それとも実際そうなのか。

数少ないアメリカ人、保険会社のおっさんは才能と勇気がある者ならオープンに受け入れる「かつての寛容なアメリカ人」を代表しているようだった。
フィリップがコトを成し遂げた後の政府による大岡裁きも、かつての寛容なアメリカそのもの。今や悪役でしか映画に出て来ない制服警官までもが寛容な心をもつ人物として登場。かつてはきっとそうだったのだ。

WTCは寛容なアメリカと共に消滅してしまった象徴的建物。WTCがこの映画のもう一つの主役という意見もあるけど、やはりWTCは単なる象徴で、もう一つの主役は911以前というか、かつてのアメリカだと思けど、いかがでしょう。

まだまだ思うところがあるけれどウザくなりそうなのでおしまい。

あとロバート・ゼメキスは風変わりな人物を描くことが得意だけど、前作『フライト』といい、今や共感することさえ難しいキチガイを主人公にするに至ってきて次回作もますます楽しみ!

あと、これは考え過ぎだと思うけど、音楽(と演出も少し)がスパイ映画調だったのは近年のくだらないスパイ映画(『キング◯マン』『ア◯クル』とか)に対するあれのようなにも受け取れて痛快だった!
まこぞう

まこぞう