クマヒロ

ザ・ウォークのクマヒロのレビュー・感想・評価

ザ・ウォーク(2015年製作の映画)
4.0
『ワールドトレードセンターの栄光』

ドキュメンタリー映画「マン・オン・ワイヤー」のインタビュー内容を巨匠ロバート・ゼメキス監督が完全映像化した本作「ザ・ウォーク」。

狂った男に狂った映像。
画面越しに伝わる緊張と信じられない迫力にTV画面上でも息を飲む。
「ワイヤーアクション」が最大の山場。
後半に見せ場を持ってくる定石とも言える展開にカタルシスを感じるわ、下半身はフワフワしてくるわ、まさに驚愕の映像体験。

正直人間ドラマは希薄で、仲間が協力すること、チームで達成したことの意味性が見えてこないところ等は気になっていたが、ロバート・ゼメキスが描きたいところはそこではない。

『フォレスト・ガンプ』的自分語りのモノローグから始まり、ラストカットでは、美しいビルが映る。
無機質のように見えるビルが生き物のように一番輝く瞬間を描き出すことが、この物語のキモである。

ワールドトレードセンターは後に凄惨な事件により崩壊することは周知の事実。この作品はその誕生、栄光、死を思わせる構造。

ジョセフ・ゴードン=レヴィッドがしきりに「アーティスト」ということからもビルに彩りを加える存在であることが明らかで、栄光の瞬間をピークに持ってきたこの作品はワールドトレードセンターの輝かしい歴史を見せてくれるのである。
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