MMM

レヴェナント:蘇えりし者のMMMのレビュー・感想・評価

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)
4.2
「人の心は、枯れ果てたままだ。」

ディカプリオが主演男優賞を勝ち取るのも納得の演技が堪能できた。
映画の凄惨なシーンの数々やその場にいたら、すぐに急患に連れていくのに!!と思わずにはいられない、ディカプリオの痛々しさととんでもない不死身っぷりに人間の底知れぬ逞しさをみた。
それと同時に、心の渇きは望みを果たしてなお、癒えないことを知った。

この映画には、親子の愛、民族問題、気候変動に物質至上主義へのアンチテーゼなど、非常に多様なテーマについて語り、今を生きる我々に警鐘を鳴らしている。

その全ての根幹をなすものは、人の心の渇望は、潤うことがないということだろう。

我々の文明が発達してきたのは、常に満たされていないからだ。
満たされた文明は、おそらく衰退するだろう。
しかし、いまだ、より良きを求め、地球の主人を名乗り、利己的に生きている。
解決する必要のある問題が山積しているのだと、監督たちは言う。
(Blu-rayのメイキングを参照してほしい。)

たしかに、解決する必要のある問題は、山積していると思う。
人類がこの地球に生きている以上は無くならないだろう。
なぜなら、我々が生きている限り、何かしらを問題として捉え、行動するからだ。
その過程で、やはりまた何かを犠牲にしていく。
多くの問題提起をしているこの映画ですら、我々の文明がより良きを求め生み出した、道具や技術、社会システムによって、人々の目に触れている。

なんとも、皮肉じゃないか。

主人公は、復讐したいという欲望を満たした先に、心の渇きを癒すことができるのかどうか、、、。

私は、最後の表情に、未だ満たされぬ心を見たよ。
しかし、心の渇望が、留まるところを知らないことが、良くも悪くも我々を前に進める力なのだろうね、、、。

今私がここにいるのも、あなたがこの時代に生きることも、全ては心の渇望が因果となった結果であり、また私たちもその因果となるのだろう。
それは、人として生まれてきた以上、きっと避けられないことなのではないかと、今は思うよ。
MMM

MMM