マクガフィン

くちびるに歌をのマクガフィンのレビュー・感想・評価

くちびるに歌を(2015年製作の映画)
3.8
悲しい過去のせいで心と笑顔を閉ざして、生まれ故郷に戻って合唱部の臨時顧問をするピアニストの新垣結衣。少しずつ明らかになる新垣の悲しい事情と子供なりに葛藤し迷いながら人生を模索していく姿を次第に交錯しながら展開する万人向け催涙映画。

一見悩みがないように見える屈託無い明るい笑顔な少年少女も、それぞれに複雑な家庭事情を抱え小さな心に傷を負っていることに気づき次第に心を動かして向き合うことに。

それぞれの心情の変遷を雄大な自然の背景と共に溶け込ませるように、悲しみに打ち拉がれた者たちが音楽を通じて希望の光を見い出し、新たに歩んで行くことに心掴まれる。痣とく子供達に近づくことはしなく、ただ寄り添う事に共感。皆の心を解き放つ終盤のコンクールの合唱シーンは最高潮に達すると思いきや、その後さらに盛り上がる二段構成もそつがない。

ピアニストがコーラスを指導できるのかという疑問はあるが、現実と向き合い共に前へと歩み出す姿に感銘を受ける。