Tutu

陽のあたる教室のTutuのレビュー・感想・評価

陽のあたる教室(1995年製作の映画)
4.4
元々は作曲家志望のホランドが作曲の時間の確保と当面の生活費のため、音楽教師になる。片手間だったはずの教師にやりがいを見出したり家庭との両立に苦慮してみたり、ホランド先生の半生を描く感動作。泣ける。

人生というのはとにかく「きっかけ」に支配されている代物だということを強く感じた。何年練習してもクラリネットが上手く吹けなかった女の子がちゃんと吹けるようになったのも、腰掛けで嫌々やっつけ仕事をしてたホランド先生が意識を変えて真摯に教えてやったから。先生が息子とちゃんと向き合えたのもジョン・レノンの死があったから。

継続は力なり、とよく言うけど、長年蓄えた力が正しい方向に発揮されるかどうかはまた別の話。頑張ってるのに上手くいかない、という鬱屈もきっとこういう理由で生じてしまうんだろうけど、そんな沢山の生徒に正しいきっかけを与えてやるべき教師という仕事のやり甲斐は半端じゃ無いだろうね。相応に責任重大だから、憧れはしても僕には絶対に勤まらない仕事だけど。

久々にドラムを叩きに行って、あまりのヘタクソさに泣きそうになりながら帰ってきて、その直後にこれを観た。レスリングが強い黒人の子にリズム感を叩き込むシーンを見て、ちゃんと基礎練から始めないと、と決意するきっかけになった。4つ打ちすらできないのか、と思う人もいるかもだけど、あれほんとに難しいんだよ。僕もまともにできないから彼の気持ちがよく分かる。

正直、今更ドラムが上手くなったって人に見せるわけでもなし、金になるわけでもなし、きっとあんまり意味はないんだけど、意味はなくても、やりたくないことでも、それが自分に必要だと思ったらまずはやってみようと、これを観て思った。

自分に必要なものに追われて、日々の生活を埋め尽くして、僕は自分がなりたいものになろう。ホランド先生ほどドラマチックじゃなくても、何か答えが見つかればそれでいい。30年は随分と短いなあ。この作品の趣旨とは大分ズレた感想なんだろうけど、とりあえずそんな感じ。
Tutu

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