ねぎおSTOPWAR

シャトーブリアンからの手紙のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

4.0
フォルカー・シュレンドルフ監督2011年製作のドイツ=フランス映画です。
舞台は1941年のフランス シャトーブリアン郡の政治犯収容所。
収容されている中で最も若い17歳のギィが主人公と言っていいのかな。

ナチスの支配下にあるフランスで、レジスタンスがナチス将校を射殺する事件が発生。
当時、軍人が殺されたら報復で3人処刑という運用だったそうです。
ただこれは将校だということでヒトラーは150人の処刑を命じます。
その命令を巡り、様々な人物が思惑を持ちながら右往左往。そして・・。

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フォルカー・シュレンドルフはドイツのニュージャーマンシネマを代表する監督であるんですが、そもそもフランスのヌーヴェルバーグを受けてのムーブメント、ニュージャーマンシネマはちょっと時代が後ろなんですよね。
芸術性に重きを置いた作風が特徴です
そして残念ながらこの波はうまく後世に引き継がれていないという、日本の映画業界の断絶と似た状況にあります。
他だとヴィム・ヴェンダースね。

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ドイツと日本は敗戦国。
さらにドイツは第一次大戦でも負けて補償でボロボロ。周辺の地続きの国々に迷惑かけてますからね。向き合わざるを得ない・・。


実はこの次に製作の「パリよ、永遠に」も観ているのですけど、エンタメで誤魔化さないんです、この方。
おそらくドイツは悪いことした。しかしそこには理由や人々の揺らぎなどもあった。その普遍性をじっくりと表現するんですね。

一緒に組むスタッフは作品ごと違うようです。
映像的な諸々というよりも、本と情感と演技が、シュレンドルフの演出なんだと思います。
と言いつつ41分ぐらいのイマジナリーライン越えが面白かったですね。役者の動きと相まって計算されたカメラワーク。