おるふ

世界一美しいボルドーの秘密のおるふのレビュー・感想・評価

3.0
『ボルドー地方のシャトーと建物が織り成す美しい風景とワイン生産の裏側』
鑑賞前はこんな感じのドキュメントかな~などと思いながら映画館に足を運んだら全くの大違い。

2000年代に入りボルドー産ワインの価格が10倍にも膨れ上がり2009年2010年のビンテージワインの登場でそのバブルは最高潮に。しかし2011年は天候に恵まれずブドウの不作と、その結果ワインの出来も良くなく価格が暴落。そのボルドーワインバブルの崩壊までとその背景で大きな力を握る最大の顧客「中国」との関係を紐解くドキュメンタリー。

開始10分くらいでカメラはボルドー地方の風景から中国へシフトされてしまうので、「あ~、そっちの話かー。」と少しがっかり。
そこからは資産家など中国上流階級の、表面上だけを着飾りたいブランド欲、失敗を恐れない中国人の文化、性質などを解説しながら、ボルドーのマーケットが欧米(主にアメリカ)から中国へ移り、そして熱が覚めていく様子を追っている。

そんな中国人の気質から、ワインの味とその美しさ、“芸術性”を広めたいというボルドーの生産者と、“値段が高ければ何でもいい”という中国人消費者の間で起きている意識の“ズレ”が中国がまだまだワイン後進国であることが良くわかるシークエンスになっている。それでもボルドーのシャトーを模倣して新疆ウイグル自治区に作られたワイナリーが国際的なワインコンペティションで最高賞を獲得する様は見もの。審査委員の間であれは絶対フランスのシャトーで作られたワインだ!!中身を入れ替えたんじゃないか?!と一騒動あったみたいです。(「模倣は尊敬だ」という中国人の思考に日本人なら誰もが「あぁぁ....。(苦笑)」となるでしょう(笑))

ストーリー性のあるドキュメンタリーなので、僕のようなワインに親しみのない人でもさらっと見れると思います。ただ、全てを詳しく解説してくれるので、考える深みみたいな点で若干物足りなさを感じました。
おるふ

おるふ