ペンバートン

沈黙ーサイレンスーのペンバートンのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.6
本作の主人公であるロドリゴは、キリシタン弾圧政策下の日本において、棄教の選択をしたものの、クリスチャン的な言行を隠しながらその精神においては生涯信仰を貫いた。
彼のこの面従腹背の姿勢は、「肉体的には誰かに従属していようと内面において人間は自由である」と霊/肉の分離を説き、表面的な帰依よりも精神的な信仰を優位に置いたルターの考えに通ずるようである。
異文化で直面した理想と現実の相克を通じて、敬虔なカトリック宣教師集団イエズス会の1人であるロドリゴが、このルター的、すなわち後のプロテスタント的な姿へと変容していくというある種の倒錯は非常に興味深かった。