このレビューはネタバレを含みます
The silence of the gods.
『地獄の黙示録』のようなストーリー。
『タクシードライバー』の頃から自身の社会へ対する疑問をフィルムに収め続けてきたスコセッシの衰え知らずの力作。
戦争映画にもよく見られる、神の不在、信仰の揺らぎを独特な鎖国社会で描ききった。
信仰というものは千差万別な個人的で、極めて内包的な形であるべきだと示す。
"Mountains and rivers can be moved but men's nature cannot be moved"
ということばがあるように日本は「沼地」であり、目に見えるものを信仰してしまいがちだ。しかしそれは宣教師たちにも言えることで、どれだけ日本に染まろうと枯れないモノがある。それを自然に出来ていたのがキチジローであり、彼は彼だけの、彼なりの神との向き合い方を知っていた。その姿やフェレイラが漏らした"our lord"発言を見て、ロドリゴも腹を括る。
彼らとアダムドライバーのどちらが慈悲深き愛のある人生だったのかは一目瞭然である。ここの根幹が分かるまでは神は沈黙を貫くかもしれない。
"The price for your glory is their suffering!"