モミヂラミミヂ

沈黙ーサイレンスーのモミヂラミミヂのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.7
おい、窪塚、お前「アイキャンフラーイ」だろ、どうにかしてくれよ!
てかアダムドライバー、フォースの力出せよぉっていう叫びをあげたくなるくらい、全編やるせ無い思いに包まれ、何を言うべきか、言葉に詰まる。

つまり、信仰を厚く信じても奇跡は起きないのだ。

信仰のあるべき形とは何か、極限の状況の中で神に語り続け、神からは沈黙の答えが返ってくる。
沈黙もまた答えなのか、それとも耳をすませば聞こえてくるのか。

イッセイ尾形演じる井上は悪役なのにどこかコミカル。
これが一概に彼は悪なのではなく、これが当時のスタンダードなのか、とイッセイがコミカルに演じれば演じるほど、複雑に闇が深くなっていく。
この演技がなければ作品としての深みは薄くなっていたことと思う。
イッセイすごい。ハリウッドで絶賛されるだけのことはあった。

また、抑えめなサントラに自然のBGMを前面に押し出したのは非常に勇気のいる作りでは無いだろうか。
サントラで悲壮感を出し、ドラマチックにすることだってできたはずだ。
「沈黙」だからこそ基本サントラなし。
また、自然音は日本の自然信仰を表現するかのようでもあった。

日本の社会と神。
イスラムVSキリストとも違う何か別のドロッとした説明のつかないもの。
なかなか一筋縄ではいかないテーマであると思う。