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沈黙ーサイレンスーの犬のレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
3.0
ハリウッドに負けず劣らずの存在感を放つ窪塚洋介、この上ない安定感を見せる塚本晋也と浅野忠信、まさに怪演と呼んで相応しいイッセー尾形、、と、オーディションを勝ち抜いただけあって流石の日本人勢ではあるが、やっぱり主演のアンドリューガーフィールドの熱量が一番凄かった。過酷な撮影だったことは見ての通りだが、役者陣があれだけ最良の演技が出来ていたのはマーティンスコセッシの愛情と敬意があったからこそなのだろうとスクリーンから伝わってきた。

江戸初期の時代背景や宗教に対して無知でも、主役ロドリゴの葛藤や苦悩が丁寧に描かれているので自然と引き込まれて共に考えさせられる。

観終わった後は疲労困憊だったが、振り返ってキチジローを思い出すと泣きそうになる。踏み絵を踏んでしまう弱さと捉えるか、踏んでしまえる強さと捉えるか、全編通してキチジローは後者なんだと思えた。そして、そこがキチジローの魅力でもある。

終始胸が締め付けられる、とても良い映画だったし、日本を舞台にした美術や、日本語の発音や使われ方に全く違和感を覚えなかったのは本当に凄いことだと思う。マーティンと窪塚洋介に感謝と敬意の気持ちでいっぱいです。
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