アベベチゴベナ

ホーンズ 容疑者と告白の角のアベベチゴベナのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

とても満足しました。

タイトルやあらすじを読むと、バカ映画だな、と印象を抱くと思います。
だってツノですよ?アホか。と。

ただ、そんな舐めてる観客はファーストカットで結構びっくりするのではないかと思います。
まさに、天国から地獄へ落ち、そして、世界が反転します。
ジャカジャーンとデカい壮大な音楽を流すわけでもなく、淡々と長回しで見せていきます。僕は観てて、一気に引き込まれました。ビンが倒れるところで自分の平衡感覚が狂って思わず首を傾けてしまいました。なるほどここは地獄だ!

それから、ツノが生えて、突然コメディに!ビッチのドーナツの食べ方は笑いました。ちなみに、最後までこのビッチは憎めません。
この後も、漫画とかでもよくあると思いますが、特殊能力の発現シーンですね。ここが面白いSFは信頼できると勝手に思ったりします。で、今作も当然、かなりユニークにツノの能力が示されます。彼女殺されて容疑者扱い受けてるのに!ちょっと面白かったり…医者!てめー!
でも、睡眠薬で眠らされて…スムーズに回想シーンへ、そしてそこで状況を説明したり、手際が良すぎる…素晴らしいです。全編このテンポで進むので飽きません。

その後も閉塞的な田舎のコミュ感だったり、宗教的な引用だったり、もちろんツノのSF的なサスペンスだったり、またまた恋人との関係の話だったり、多面的な要素があって見どころが多かったりしますが、説教くさくないし、甘すぎないし、で、ちょうどいいバランスをとっていて尚且つ面白いという欠点がないと感じました。おっぱいもでてくるし。

宗教的な引用だと、最初の地獄カット、アニメの悪魔、天使が悪魔になるとか、リンゴ(のレストラン)から事件が始まる、あと、蛇と悪魔的なフォーク。など、キリスト教的な世界観を映画見たあとに勉強してみると面白いかもしれません。検索したら面白い考察記事ありました。

特撮もすごく頑張っていて、ヘビのCGはちょっと作り物感がありましたが、炎の演出は結構、ゾッとする長回しだったりして凄いなと思いました。
あとはバッドトリップの描写をあんなに頑張ってる映画初めてみました!虫!木!あそこだけで、ウルフ・オブ・ウォールストリートの薬物描写に匹敵してると思います。

多面的な要素がありつつも、ちゃんと面白い、そして見た後スッキリしつつも、自分で色々考える要素もある、このバランス感覚がすごい映画だと感じました。星5です!チェリーボムの人体欠損やりすぎ感とミートの頭が吹っ飛ぶやり過ぎ感も個人的には好ましいところです。

ダニエルラドクリフも世界一のヘビ男優としてキャリアを築いて欲しいと願うばかりです。

あ、あと、「告白」させる能力を得た主人公ですが、彼女が本心を「告白」しなかったために事件が起こってしまったという皮肉的ラストも最高だと思います。


追記

ニックの頭が吹き飛ぶシーンを見せてくれないのは、ピラニア3Dのアジャ監督なのになー、お金なかったのかなーって思ったんですが、日本版はR18になっちゃうのでカットらしいです。チャッピーの件もあり、自主規制ってどうなのって感じしますね。