カズミ

パパが遺した物語のカズミのレビュー・感想・評価

パパが遺した物語(2015年製作の映画)
3.4
『幸せのちから』『7つの贈り物』の監督さんと聞いて納得がいった。
苦難や苦境の描写を多めに、その中での穏やかな幸せを描く。中でも本作は、親子愛を通じた表現が色濃く、印象的で見やすかった。
セピアやオレンジ味がかった映像も、終始おしゃれで美しい。小説家が使うタイプライターって、どうしてあんなに魅力的なんだろう。

過去と現在が交互に映し出され、人生の波がリンクする。
天真爛漫な少女が、屈折したものを持つ大人の女性へと変貌し、カウンセラーとして他者をケアすることで、その傷と向き合うことになる。
物語は確かにハッピーエンドで終わるが、その先は観客に委ねる手法なので、ただ彼女の幸せを祈るばかりだ。

主役がラッセル・クロウとアマンダだからこそ、この脚本の良さを最大に引き出すことができたのではないか。そう思わずにはいられない。
自己をコントロールできない病に侵されたシーンは、両者とも秀逸すぎる。
痛みも含めて、寄り添うように描かれる確かな愛情を感じるヒューマンドラマでした。
カズミ

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