鹿江光

チャイルド44 森に消えた子供たちの鹿江光のレビュー・感想・評価

3.4
≪68点≫:思ってたのと違う!
ガッツリのミステリかと思っていたら、少し違っていたでござるの巻。スターリン政権で「殺人も存在しない」理想国家に疑問符を抱いた存在が、どういう道を進んでいくのか……。一歩間違えれば怪物と成り得る世界で、苦悩の渦に逆らおうとする主人公の姿が見ごたえある。
あくまで事件はただの要素であって、真犯人を追い詰めるというよりも、この歪な社会の中をどう生きていくかという主題がある。歴史的な問題提起が強すぎて、拍子抜けしてしまった。
おそらく時代と地域から考えるに、殺人鬼のモデルはチカチーロだろう。そんなビッグネームを扱うのなら、もう少し犯人側のスリリングな描写があっても良かったのでは?と。娯楽であるならば「誰が殺したのか」――、そこが明白であれば、それだけで面白いのに。殺人鬼に必要なのは残酷性ではなく、異常性でもなく、一途な愛だと思った。
あとゲイリー・オールドマンがちょい役すぎて悲しい。
鹿江光

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