ヘラルドスクエア

ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男のヘラルドスクエアのレビュー・感想・評価

3.6
ヤバい男JB
ザ ハーデスト ワーキンマン イン ショービジネス

ゴッドファーザー オブ ソウルの生涯は波瀾万丈で高密度なため情報量も膨大です。
なにしろ生きている間だけでも80枚以上のアルバムを発表しているので。

よくぞここまでJBの人と成りを整理して、2時間半にも満たないエンタメ作品としてまとめたなと感心します。
テイト テイラー監督は巨大なJB山脈に真正面から立ち向かって、痒いところに手が届く視点で見事に料理しています。
その点は、もう一方の山脈、映画『エルヴィス』とはすべてにおいて差をつけています。

監獄でのちの盟友ボビー バードとの出会い以降、ドゥワップ、ゴスペル、ソウル、ファンク、ディスコ、ヒップホップに至るまで、常に黒人音楽シーンのど真ん中で絶対的存在であることや、徹底した独裁体制や狂気とも言えるはちゃめちゃな様子がよく分かります。

リーダーの座を奪われて添え物となるボビー バードの苦悩をしっかりと描くことによって、JBの天才とカリスマ性、格の違いを表現した点は特に素晴らしいと思います。
ついでに…
JBの数千人規模の盛大な葬儀に、JB’sのメンバーはボビー バードくらいしか参列しなかったのは有名な話。
泣ける…。