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シネマ歌舞伎 人情噺 文七元結のkayのレビュー・感想・評価

4.5
落語でも有名な人情噺『文七元結』。日本人の好きな話でしょう。酒とバクチに明け暮れるダメ親父を見かねて、自らの身を遊郭に売り借金のかたをつけろと言う孝行娘。娘の身代金50両を持って明日からは心を入れ換えようと決心した家路、今にも大川に身を投げようとする若い男を助けてしまう。聞くと客からつけ50両を回収して帰るときに泥棒にとられてしまい、このままでは店の旦那に申し訳が立たないから死ぬしかない、と思い詰めている。それを聞いたダメ親父、「人の命はカネでは買えない」と思いきって50両を叩きつけ、逃げるように家に帰る。勿論おっ母と一晩中の壮絶なバトル。と、そこへ例の見投げ男が店の旦那と現れ、いや盗られたと思った50両は実は客の家に忘れてきたんです、と間抜けな打ち明け話。親父の綺麗な心意気に感動した旦那が、金を返した上に孝行娘も身請けして、店を暖簾分けさせる見投げ男の嫁にほしいと申し出て、総ては大団円。勘三郎さんのダメ親父と、中村扇雀さんのおっ母の掛け合いが毎度のことながら笑えます。孝行娘の中村芝のぶさん、養成所を出た一般家庭出の女形さんですけど、まあ声も姿も器量よしの娘さん。あんな女の子いたら惚れちゃう。最近とみに人気の出てきた中村鶴松くんしかり、役者さんを追っかけるのもまた楽しい。
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