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ヴィヴィアン・マイヤーを探してのoskyutのレビュー・感想・評価

3.8
何気なく観たら超良かったドキュメンタリー。

オークションで落札したフィルムの写真を現像したらすごく良くて、持ち主の事が気になって調べたら亡くなったヴィヴィアンマイヤーという女性だった〜みたいな導入から始まり、ほぼ関係者のインタビューで終わる。
多くの関係者が主観でヴィヴィアン像を語っていって、それがバラバラだから惹かれるし、多角的に輪郭が出来ていくようで面白い。
本人に話が聞ければ聞いてるんだろうと思うけど、それが出来ないから輪郭がボヤけてて、実像は余白がある状態に留まってる。
なんとなく彼女がどんな人かわかるくらいでちょうど良い。

写真は素人目に見てもストリートスナップで距離が近いのに自然だったりする。すごい。
当時はカメラを持って街中をウロつく人なんか少なかっただろうし、写真を撮られるなんて思ってなかったから自然なんだろう。
誰が見ても状況がわかるくらいストーリー性があるのもすごい。

そのすごい写真をSNSで公開したら評判が広まって〜ってくだりがあるけど、そこは何か違和感がある。
そこから話が始まるし、こうして映画にもなってるけど、監督はアーカイブしただけなんだ。
労力はすごいけど、ヴィヴィアンマイヤーの魅力だったり写真の素晴らしさが作品のキモな訳で、監督はただ他人のふんどしで相撲をとってるように見える。
SNSから火が付くのは今っぽいけど、他人の作品で評価を得ようとするこの映画の手法も、パクツイを彷彿とさせる点では今っぽい。
故人のものでやってるのも狡猾だ。
冒頭でヴィヴィアンマイヤーの名前を検索して数日前の死亡記事がヒットしてるけど死ぬのを待ってこの部分を撮影したんじゃないか。
何せパクツイを映画にまでする奴だからな。
なので、ヴィヴィアンマイヤーについてはドキュメンタリーとして観るけど、監督の言動についてはフェイクドキュメンタリーとして観た方が良いかもしれない。
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