三上ぱんだ

野火の三上ぱんだのレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
3.5
戦争映画祭りに加えようかどうか悩んだけど、キリ悪いのと観ていて何か違うなと思ったので入れないでおくが、一応戦争映画だ。

空気感が独特で不安になる、目眩のような絶望というような感覚。そこまで入り組んでいるわけではないけれど、『地獄の黙示録』と少し近いかな。しかし戦地での自然の美しさを感じさせる描写およびその生と死のコントラストは『シン・レッド・ライン』に確かに通ずるものがある。

ここまで比較してきてあまり日本の戦争映画っぽくないと感じた。なよっとしてないというべきか。系統としては『戦場のメリークリスマス』なんだけれども。

戦争を迫力を持って残酷さや恐ろしさを伝えるというのは日本映画では予算などで難しいのだと思うが、そういった表現を用いなくても、ひしひしと迫る死への恐怖やというものが伝わる。低予算で作製されたからこその表現だったのかもしれない。
それだけでもかなり評価できるのだが、表現方法としては自分は好きじゃない。

損傷の見せ方がスプラッタにも見えるので評価が分かれるところかもしれないが、個人的には可もなく不可もなくといったところ。これこそが本作を非現実的に描きすぎていて(やりすぎ)好きになれない要因でもあるのだが。

原作を読んでいないので言葉数が少ない中で理解することが難しかった。これは失敗。あと旧同タイトルを観ておくべきだったかなあ。どういった思いでこういった表現になっているのかわからない場面が多かった。

感情の揺らぎや緊迫した状況でカメラが揺れまくるのだが、あまりにも見辛いというより酔いそうになるのでここだけはどうにかしてほしかった(演出方法としては問題ないのだが、揺れ方がということ)。
三上ぱんだ

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