ヒューマンエラーちゃん

野火のヒューマンエラーちゃんのレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
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市川崑監督の船越英二主演の野火(1959)を先に観て映画のイメージがバチッと出来上がってしまってるので細かい所が気になって仕方なかった


市川版では分隊長の俳優が主演の船越英二より20歳近く歳上で髭ゴリゴリのおっさんなんだけど主人公を叱責する圧がめちゃくちゃ強くて鬼上司って感じなんだよな。塚本版の分隊長は主人公よりひと回り以上歳下の薄い顔の俳優さんで確かに主人公への冷たさとか嫌な人間っていうのは伝わってくるけど迫力があんまりで…。(早口)


あとカメラの進化のせいか色が鮮やかすぎて林の中の緑が美しい!眩しい!ってなってそこも違和感が…。市川版はモノクロでうっすら不穏な空気の中ストーリーが進んでいってラストがああいう終わり方でじんわり不安とか嫌な気持ちが続くんだけど、これは戦争って悲惨!暴力!グロテスク!っていう嫌な感覚に働きかけてくるような作品で私の苦手なタイプのものだった。ランボー:最後の戦場みたいな印象。例のパクパクシーンはB級ホラーっぽかった。


リリーさんが相変わらず役にピッタリだったけど、ノーマークだった永松役の俳優さんがとても良かった。市川版は船越英二が不気味で気持ち悪くて良かったんだけど、塚本さんは普通の兵士っぽくて主人公が他のキャストに喰われてる感が否めなかった。ストーリーは市川版とラストの終わり方が違うし、一見蛇足に思える帰国後のストーリーが戦場よりも不穏で怖かった。カラー作品だからこそ赤が映えていて良かったし、やっぱりそこを使ってくるか渋いな〜と思いました(早口)


市川崑版も観てほしい