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雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのminamiのレビュー・感想・評価

3.2
「難解系」と聞いていたので、宅飲み中にお酒がまだそんなに進んでいない内に観賞したんだけど、逆にどこが難解な部分なのかがよくわからなかった…。

ややエキセントリックではあるけど、主人公はとてもわかりやすい性質の持ち主。
私があの立場だったらまずしないだろうという行動が多すぎて「おお…」とは思うけれど、周りの人に恵まれていてよかった。
そしてそれは自身の行動や性格もあって得ることができた縁なのよね。

結婚相手(婚約者)と死別した男性と義理の両親を描くストーリー×ジェイク・ギレンホールといえば真っ先に『ムーンライトマイル』が思い浮かぶけど(大好きな映画!)、まったく人物像が違う上にどちらもリアルに演じ切っていたのは流石。

この作品、原題は『Demolition』つまり『解体』だそう。
個人的には、珍しく邦題担当者がいい仕事してくれたなと思いました。
『解体』でもいいけど、それだと主人公の行動にばかり焦点が当たるような気がする。

『雨の日は~』というタイトルにすることで、「だれの言葉なのか」「だれに向けられた言葉なのか」「どの状況で発された言葉なのか」といろんな方面に角度が広がる感じがする。

なんとなく思い出したのは、宇多田ヒカルさんが以前インスタライブで言っていた「心の中にはもともと痛みがあって、だれかと別れることで痛みを感じるのであれば、その人との関係が痛み止めになっていた」といった(意訳)言葉。

痛み止めの薬って、すぐに効く人もいれば、そうじゃない人もいる。
そして同じ人でもいつも同じタイミングで同じように効くわけではないし、痛みだって状況によって強く感じたり鈍くなっていたりすることもある。
この映画に出てくる人たちを見ていると、まるでそのとおりだなぁと感じた。

好きな映画。
意識(気持ち)が混濁しているときの、断片的に見せる映像の演出も、音楽も、人とのつながりの描き方も、とてもよかった。
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