sasa

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのsasaのレビュー・感想・評価

3.6
突然の妻の死に悲しみも喪失感も感じないことに戸惑うデイヴィスは、自分の日常を構築していたあらゆるものを「分解」することで、自分自身を再び機能させようとする。
彼自身が"正しい"社会に馴染んではいなかったことは明らかで、同じく潜在的な社会的異分子となりうる、ジェンダーに悩みを抱える少年を相棒として、"幸せな家庭"の象徴である家を破壊する。
社会の中で孤立する現代人を描いたメタファーに富む作品。

しかし残念なのは、クライマックスのシーンが誤訳で台無しになっている点。あの"see"は「会う」ではなく「見る」と訳すのが適切であり、サンバイザーから落下したことも分かりづらいので本来の意図が伝わらない。
そのうえ邦題はこの誤訳を元にしているし、主人公の言葉でもないし、そもそもこの作品の本質は原題の「破壊」であり雨だの晴れだのではない。色々と酷い。
sasa

sasa