殮

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うの殮のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

象徴と詩。生前のジュリアが「雨の日は会えない、晴れた日は思い出す」というメモを車のサンバイザーに挟んでいて、その状況(サンバイザーを下ろすのは晴れの日、つまり、雨の日は下ろすことがないのでメモを見られることはない)込みで詩的な感性だと思い、それがよかった。

心を分解し、身の回りの生活、謂わば社会性を破壊して、色々な感情を自覚し自己を取り戻していく(デイヴィスの場合、生成するといった方が的確かもしれない)過程がいい。

多くのメモを残し、彼のことを愛してきたジュリアが、愛を感じない、与えないデイヴィスに愛想を尽かして不倫をしていたのも人間臭くてよかった。それを知り、でも愛は疎かにしていただけで確かに存在したと認めるデイヴィスもよかった。淡白な回想シーンも、淡白でありながらも確かに事象としてそこには愛があったのだと思えた。あと何回見るんだろう。
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