黒須ユーキ

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うの黒須ユーキのレビュー・感想・評価

3.5
妻を事故で亡くしたものの、涙ひとつ流せない男。繰り返す日常の中で「あたりまえ」が知らぬ間に心の上に薄い層のように降り積もり、自身でさえ見ることができなくなってしまった自分の本当の気持ち。偶然出会った母子との交流を通して一度その「あたりまえ(仕事や、家具や、暮らしていた家そのもの)」を全て破壊することで、初めてむき出しになり、向き合い、受け入れることができるようになる自分の妻への思い…。交通事故や家の解体など、派手に描けるシーンもあえて淡々と描くことでキャラクターたちの心情が観客の胸に静かに染み入ってくる、赦しと再生の物語。
ジェイク・ジレンホールが安定の器用さでこの心が麻痺した男を演じている。ナオミ・ワッツやクリス・クーパーの助演陣も見事で、撮影や照明、美術も美しい。
黒須ユーキ

黒須ユーキ

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