このレビューはネタバレを含みます
死ぬほど詩的な邦題がついているが原題はDemolitionと極めてシンプル、内容も「雨の日は~」よりも主題に意味を寄せるならば原題の方が適切であると言える。Demolitionは邦訳を「破壊(バラバラにすること)」という
「妻の死」というテーマを考えると記憶に新しいのは「永い言い訳」だが、全く本質が違う。「永い言い訳」における男は、妻の死後に同じく妻を亡くした男やその子供たちとの交流を通して「人生は他者だ」と愛を知る描写はあるものの、物語の始まりから終わりまであくまで妻を愛してはいない。しかし本作では、最後には妻への確かな愛を自覚するのである。「愛はあった。おろそかにしていただけで」というセリフはちょっと個人的には痛く刺さった
タイトルにあるようなDemolitionが彼の精神にいかなる変化をもたらしたのかは定かではないが、彼が「妻への愛がなかった」という自己への失望から涙とともに脱し、車のサンバイザー裏にメモを見つける場面が良かった
2017劇場23本通算51本