鹿江光

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うの鹿江光のレビュー・感想・評価

3.5
≪70点≫:解体して気付くもの。
その詩的な邦題とジェイク・ギレンホールが主演ということに惹かれて観たわけだが、これは「おぉ…」というリアクション以外に思いつかない。悲しいかな、主人公の行動には目を見張るような爽快感と中毒性があったが、いまひとつ気持ちよく心に寄り添うことができない。物語が主張したいことも、わかったような、わからないような感覚が続き、気付けばエンドロール。うまいこと感情移入できなかったのが、一番の原因のようだ……。んー、こればっかりはどうしようもない。なかなかの消化不良。
残された者たちの悲しみ方、生き方、心の在り方、そこに劇的なドラマはなくて、ひたすらに折り合いを付けながら毎日を生きていくだけ。人生に小さな幸せを見つけるのではなく、暗く湿った現実もまた美しいものとして受け入れるような、そんな前向きな印象がラストにはあった。
ただこの邦題はやっぱり誤解するよなぁ。夫婦の人情ドラマだと思うよなぁ……。実際そう思って観たし。このタイトルが意味するところも、物語を知るとなかなか身勝手な言葉に思える。皮肉にも、人は感情から離れて初めてその感情の在り処を知る。一度解体してみないと、その仕組みは分からない。
まぁトータルで言えば、ジェイク・ギレンホールの演技が観れたから、それで良し。

※追記
1日経って、なぜだか心に沁みてくる。気付けなかった愛と、解体したことで見つけた愛。後からじんわり作品の良さが伝わってきている。この感覚、心地好い。
鹿江光

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