雨の日は会えない、晴れの日は
妻を交通事故で失った主人公はまるで悲しんでいないかのように表情を変えることなく淡々といつもと同じように会社に出勤し日々を過ごしていく
え、どうしたの?ってぐらいに
主人公は結婚した妻の義理の父の経営する金融会社にコネで入社する
出会いから、結婚生活までの経緯や描写は断片的にしかなく、結婚式でさえ心の底から幸せそうに見えない主人公
最初に義理の父からは、「お前は好かん」と言われるが、仕事をこなしていく主人公はいつしか義理の父からも認められるようになる
映画の途中何回も猿の毛づくろいが出てくるけど、あれはグルーミングという集団で生きる動物に見られる行為だそうです
娘をなくした義理の父フィルは、妻を亡くしたばかりの義理の息子である主人公がいつもと変わらずに会社に出勤していることを知って、実在する行きつけのバーに連れて行き話をする
私は、娘は亡くしたが、お前とは繋がり続けていく。お前は私にとって大切な人間だと言うことを知って欲しいし、それは仕事だけでなく、私の人生の中ででもだ
そんな言葉にも主人公はなんのその
自販機会社へのコンプレインの手紙にフィルのことをFather in lawの略と発音が一緒のことについて笑える、と書いていた
もともと、主人公は周りに無関心で自分の感情や心さえもよくわからなくなっていた
病院に置いてある自動販売機の管理会社とのコンプレインの手紙を通して、プライベートないきさつを交えながら自分の心情を語りはじめる
周りのものが、メタファーに思えたり
今まで気にしなかったことを意識するようになったり
自販機からM&Msのピーナッツが引っかかって出てこなかったのもメタファーなのかな
次第に主人公は、不可思議な行動を取り始める
フィル曰く、何かを直す時は、"分解しろ"
そして見極める
主人公は、自分の心を修理しようとして、あらゆるものを分解解体破壊し始める
周りにはちょっと病気だとかクレイジーとか思われても今俺はまじめにこれをしたいんだ、っていう
途中で挿入される、カエルだか、マイマイ蛾だがの映像がまるで意味もなく出てくるけど、人って多分無意識のうちにああゆう事柄を心の潜在意識のうちに作っていたりするのかもしれない
なんでもないように思う事柄と、ちょっとムッとしたことが結び合って、夢で見るような支離滅裂なイメージ
それは、主人公の何気ない心の中や、文字では説明できない鬱屈とした感情が映像として挿入されてるのかもしれない
うるせぇよ、shut the fuc... your mouthみたいな
カエルは調べたら、ある曲のPVの映像だそうです
何回も奥さんに皮肉として言われていたあのセリフの元を言っています
それまでの生活に意味や価値を見出せなくて、壊してしまう
周りの人から見れば、非常に価値のある暮らしなのに
いろんな好きなシーンがあって、ジュダルイスのドラムに合わせてジェイクがダンスするシーン(アドリブでやったのを監督が気に入って映画に載せたとかなんとかちらっと聞いたような)とか、クリスの悩みに向き合ってあげるシーンとか
デイヴィスのラフなあの感じでティーンエイジャーの悩みを聞いてあげられるのがかっこよくて𗂖
思春期で自分の性に悩みを持つクリスが可愛いし、同時にクラブからの帰り道、あの綺麗だった顔が袋だたきにあってすごく痛々しかった😰
最後に死んだ奥さんと浮気してた(と思っていた)男に、
「全部知ってるんだ。(僕の代わりに)妻の愛に応えてくれていたことを祈るよ」っていうセリフ
全てが明るみ、晴れになった瞬間今までの妻からのメッセージを思い出す
自分は全然妻のことを見てなかったんだ、あんなに妻は自分にメッセージを送ってたのに、、、
裏切られた悲しさじゃなくて、自分の情けなさ、妻への哀れみ無関心が生んだ悲劇
いろんな表現方法やアメリカ特有の文化や楽曲、メタファーが使われていて正直まだ何回か見ないとわからない
一般受けもあまりしないかもしれないし、物語に大きな波があるわけではないので、お勧めもしないけど
ただ、個人的にすごい好きな映画
淡々と淡く進んでいく中で理解しにくかったり、一瞬目を離すと繊細すぎる主人公の心理描写に気づかなかったりするし、絶対一回見ただけじゃ分からないスルメのような映画でした🎞