このレビューはネタバレを含みます
主人公はエリート金融マン。
妻と一緒に乗っていた車で交通事故を起こし、自分は軽傷だが、妻は病院で命を落としてしまう。
不思議と悲しくない、冷静に靴についた血を落とす。
お腹も空いて、自動販売機でm&m'sを買うが25セント入れても出てこない。
自動販売機の会社へ
妻が亡くなったこと
お腹が空いてチョコレートを買おうと思ったのに出てこなくて腹が立ったこと
そのほかもろもろを手紙に出す。
妻が死んでから、泣けもしない。
仕事にもいつも通りすぐに出社。
本当に自分は妻を愛していたのかと疑問になり始める。
こんな自分を見て、お義父さんも
「何かを直す時はまず分解しろ。そして見極める。強さの源を。心の修理は車の修理と同じだ。まず、隅々まで点検する。そして、組み立て直す」
亡き妻が死の直前に「水漏れしているのよ、直して」と言っていたので早速、冷蔵庫を修理。というか分解。というか破壊。
バラバラでボロボロの冷蔵庫。
あーあ、、ってなってる深夜2時。
すると、自動販売機会社の顧客係の人から電話がかかってきてーーー
以下、ネタバレ。
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奥さんとは 共通の知り合いを通しての出会い。パーティーで知り合ってから3時間後にはベッドで寝ていた。
そこからとんとんとなんとなく関係は発展して結婚。
楽な方に、楽な方に生きてきたらなんとなくお義父さんの会社の下で働くことになっていた。
もともとの性格も、何事にも無関心なんだろうなあ。奥さんからもらったボールペンもあけてない、壊れた冷蔵庫にも気がつかない。枯れた花もそのまんま。
妻が死んでからお義父さんに修理と分解の話を聞いたものだから主人公は身の回りの色んな物を破壊(分解)し始める。
最初は泣けない主人公をみて
奥さんのこと愛してなかったからじゃないのかなー
と思ってたけど物を分解することが段々とエスカレートしてるのを見ると、それは違うのかもしれないなーと。
壊してるものひとつひとつが主人公の心を投影しているとかどうとか。すごくわかりづらい。
自分が無関心で何事も疎かにしてしまっていたことを、ひとつひとつ分解して取り戻していくお話。
カレンとその子供との交流を通して
徐々に奥さんとの楽しかった思い出を思い返す。
うんうん、奥さんは海が好きだっただね。
無関心とはいえ、やはり奥さんとの日々は楽しかったこともあったんだね。
終盤はついに、車のサンバイザーから奥さんのメモを見つけて
「雨の日は会えない、晴れた日は思い出す」
雨の日はサンバイザーをおろさないけど、晴れたらメモを見つけて少しでも私のことを思い浮かべてくれるでしょ
っていう奥さんの寂しさを知って、やっとここで泣いてしまう。
なあなあに生きてると心がすり減っていくんやなあ。こんなすり減り方もあるんだなあ。って思った作品。
ただ、物を壊す描写もきっと何か意味があって壊しているはず。
なんとも、わかりづらい作品なんだけど余裕のある人は二巡目にしてもっと考察できるのかもしれない。
防衛規制が働いて、心がそうなっちゃったのかはちょっと疑問が残る。